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節税策の先取りは将来の税務リスクとなる可能性があるので要注意

節税策はいくつも存在しますが、会社の規模や経営状況によって最適な対策方法は異なります。
1度しか使えない節税方法を先取りしてしまうと、今期は節税できても翌期で多くの税金を支払うことになる可能性があります。

そこで今回は、節税方法の種類と節税策を先取りした際に起こる、将来の税務リスクについて解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

節税策は目的を明確にして実施することが大事

会社が節税策を講じるのは、税金の支払いが少なくなれば、手元に残る資産が増えるからです。

節税策を実施するために支出額が多くなれば、手元の資産は減少するので本末転倒ですし、節税手段の選択肢がある場合は、費用対効果の高い節税策を用いることも重要です。

また節税策には毎年活用できるものから、特例制度など適用するタイミングや回数が制限されている節税策も存在し、最適な節税手段はその時点の状況で変化します。

会社が実施すべき3種類の節税策

法人税は益金から損金を差し引いた利益に対して課されるため、益金の額を減らすか損金の額を増やし、利益を小さくすることが節税の基本です。

節税方法には3種類あり、目的や用途によって活用する節税策は異なります。

費用の先取りをして利益を圧縮する節税方法

大幅な利益が発生した場合、相応の法人税を支払うことになるため、事業に必要な設備等を購入し損金の額を増やすことで利益を圧縮する方法があります。

法人税の税率は段階的に引き上がるため、単年で大きな利益を挙げるよりも平均的に利益を出した方が納める法人税は少なくなります。

今期の利益が多い場合、翌期に購入予定だった設備を前倒し購入することで利益を圧縮できますし、減価償却資産なら翌期以降も減価償却費として経費計上できます。

利益の繰り延べをする節税方法

法人税は事業年度の利益に対して課されるため、利益を翌事業年度以降に繰り延べれば、今期に課される税額を抑えられます。

たとえば売上の計上時期を今期ではなく翌期とすれば、益金(収入)は少なくなりますし、従業員へのボーナスを支払うことで損金(費用)を増やし、利益金額を減らすことも可能です。

また利益を先延ばしすることで、事業年度ごとの利益の額を平準化させ、トータルでの納税額を減らせるメリットもあります。

設備投資を今期に前倒しできない場合は、収入を繰り延べて翌期に収入と支出を相殺すると効果的に利益を圧縮できます。

継続的に実施可能な節税方法

継続的に実施できる節税方法は、毎年発生する支出を増やすことです。

役員給与は事前申請等を行っていれば、全額を損金の額として計上できますし、寄附金を利用した節税策も毎年利用できます。

また接待交際費は法人の規模に応じて一定金額まで損金計上できるため、取引を有利に運ぶための必要経費として活用すると無駄な支出になりません。

節税策の先取りによる税務上のリスク

3種類の節税方法のうち、節税策の先取りは税務上のリスクが高くなる手段なので、活用する際は注意が必要です。

翌期以降に課される税金が多くなる可能性

設備投資は毎年できませんので、事業資産を購入した翌期に同様の節税方法を用いることは難しいです。
前倒しをて設備投資すれば、今期に納める法人税は少なくなりますが、翌期は法人税の納税額が多くなる可能性は高くなります。

また会社の経営が右肩上がりの場合、翌期に節税策を用いたほうが節税できる金額が多くなることも想定されます。

したがって節税策の先取りをする際は、翌期以降の会社の売上などを予測し、今期の経費として計上するメリットが大きい場合に実行するようにしてください。

無駄な設備投資は資金繰りや財務内容の悪化を招く

設備投資は購入費用が発生するため、支出額が多くなれば手元の資金は少なくなります。

支出額を増やせば利益は減り、納税する法人税は少なくなりますが、無駄な支出は会社の資産を減少させる行為であり、会社に資産を残す節税の目的とは真逆です。

また利益が減少すれば財務状況は悪くなるため、企業価値は下がります。

経営状態が悪いと判断されれば、金融機関から融資が難しくなるので、利益を出さないことが会社にとっていい状態とは限りません。

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