契約書のひな形、内容証明郵便書式、労務書式、
会社法議事録・通知書のテンプレートが無料

使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例と適用対象になる条件

税務調査で使途秘匿金の支出が指摘された場合、所得金額の有無に関係なく法人税が追加課税されます。

本記事では「使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例」の制度内容および、特例が適用される支出の条件について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の概要

使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例(租税特別措置法第62条)は、使途秘匿金の支出があった場合に課されるペナルティで、使途秘匿金の支出額に対して40%の法人税が課されます。

相手先を秘匿するような支出は違法な支出に繋がりやすく、公正な取引を阻害する要因にもなることから、使途秘匿金の支出を抑制するために設けられた制度です。

特例が適用される使途秘匿金は、法人が支出した金銭のうち、相当の理由なく帳簿書類に相手方の氏名・名称、住所・所在地および支出事由が記載されていないものをいいます。

税務調査で申告誤りを指摘された場合、通常は加算税が課されることになります。

加算税は本来申告すべき税額と、実際に申告した税額との差額に対して課されるものですので、差額税額が発生しなければ加算税を支払うことにはなりません。

しかし、使途秘匿金の支出に対する追加課税は支出を行ったことに対して課されるため、赤字が発生した事業年度でも使途秘匿金の支出があれば追加課税が行われます。

使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の対象者

使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例は、営利活動に関連した企業が使途秘匿金を用いることを抑制することが目的であることから、個人は特例の対象外です。

法人の中でも公共法人は特例の適用対象からは除かれ、公益法人等や人格のない社団等については、収益事業に関連した部分のみが対象となります。

使途秘匿金と費途不明金の違い

使途秘匿金と似た支出に費途不明金がありますが、税務上の取り扱いは異なります。

費途不明金は使い道が不明な支出をいい、法人税において費途不明金の損金算入は認められません。

たとえば接待交際費として支出した費用は損金として計上することができますが、領収書を紛失するなど、金額や支出の目的を証明できない場合、その支出は損金不算入となります。

一方、使途秘匿金の支出は損金算入が認められないだけでなく、支出額に対して40%の法人税も課されます。

支出の目的等を証明できないときに損金不算入となる点では費途不明金と使途秘匿金は共通していますが、使途秘匿金の支出は加算税だけでなく、使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例による追加課税の対象になるのが相違点です。

領収書の紛失や経理処理の誤りだけを理由に、使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例は適用されませんが、国税当局から指摘される要素を少しでも排除するためにも、経理処理は適正に行う必要があります。

使途秘匿金の支出に該当するもの

使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例は、原則金銭による支出が対象となりますが、贈与や供与、その他これらに類する目的のために行うものについては、金銭以外の資産の引き渡しも使途秘匿金の支出に該当します。

ただし、商品などの金銭以外の資産は販売目的で払い出しを行うこともありますので、特例の対象になる金銭以外の資産の支出は、贈与や供与等の目的のために行う引き渡しに限定されます。

帳簿書類に相手方の氏名等を記載していない場合でも、記載しなかった理由が相手方の氏名等を秘匿するためのものではないと税務署長が認めたときは、その支出は特例の対象となる使途秘匿金には含めません。

たとえば広告宣伝用物品等の贈与として不特定多数の方へ渡すカレンダーや手帳など、相手方の氏名等を帳簿に記載しないことが通例となっているものについては、相手方の氏名等を帳簿書類に記載していないことに相当の理由があるものと認められ、使途秘匿金の支出からは除外されます。

経営に役立つ無料セミナー・無料資料請求
PREVNEXT