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資力喪失者が資産を譲渡した際の所得税の非課税規定

個人が不動産などを売却した際に生じる利益は所得税の課税対象となりますが、譲渡者が資産喪失者である場合、所得税の非課税規定に当てはまる可能性があります。

本記事では、資力喪失者が資産を譲渡した場合の非課税要件と、適否判定する際の注意点について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

非課税所得の範囲

所得税は、原則として納税義務者に帰属するすべての所得が課税対象となりますが、社会政策等の見地から、所得税を課さない「非課税所得」に該当する所得も存在します。

非課税所得の対象となる範囲は所得税法だけでなく、租税特別措置法や他の法律でも規定されており、資力喪失者が資産譲渡した際の非課税規定は所得税法第9条1項第10号で定められています。

<非課税所得に該当する主な種類>

・資力喪失時の強制換価手続で生じた譲渡所得等
・傷病者や遺族などの受け取る恩給、年金等
・給与所得者に支給される一定の旅費、限度額内の通勤手当
・税制適格ストック・オプション
・生活に通常必要な動産を譲渡した際の所得
・NISA口座で生じた配当所得・譲渡所得
・相続または個人からの贈与により取得するもの
・損害賠償金、慰謝料

資力喪失者の譲渡益に対する非課税要件

資力喪失者が、債務を弁済することが著しく困難である場合において、強制換価手続によって資産を譲渡した場合、譲渡により生じた所得は非課税となります。

非課税所得に該当するためには、資力喪失により債務を弁済することが著しく困難であるだけでなく、国税通則法に規定されている強制換価手続の執行が避けられないと認められる場合の譲渡で、その譲渡に係る対価が債務の弁済に充てられている必要があります。

債務等の弁済に充てる目的で資産を譲渡した場合でも、原則譲渡所得は発生します。

また、資力を喪失している状態のみをもって、資産を売却した際の譲渡益が非課税になるわけではありません。

「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難」とは

資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であるかの判定は、資産を譲渡した時の現況において行います。

「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難」とは、債務者の債務超過の状態が著しいだけでなく、本人の信用や才能等を活用しても債務を弁済するための資金調達が難しく、近い将来においても資金を調達することができないと認められる状態をいいます。

確定申告時点において債務超過の状態が著しくなったとしても、資産を譲渡した時点では債務超過になっていなかった場合、非課税規定は適用されません。

一方で、将来的に弁済能力が回復したとしても、譲渡時点では資力が喪失しており、債務を弁済することが著しく困難な状態であったときは非課税規定の対象となります。

「譲渡に係る対価が債務の弁済に充てられた」の判定

資力喪失者が資産譲渡した際の非課税の要件の一つである、「譲渡に係る対価が債務の弁済に充てられた」は、資産の売却代金すべてが譲渡時において有する債務の弁済に充てられていたか否かで判断します。
(資産を譲渡するのに要した費用がある場合、その費用に相当する部分は除かれます。)

資力喪失者が資産譲渡した際の非課税規定は、資産を譲渡したにもかかわらず、すべての売却代金を弁済に充てなければならない状況にあることを考慮したものです。

したがって、譲渡代金のうち弁済に充てられていない部分がある場合、その部分については所得税の課税対象となります。

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