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災害発生時における救済措置と法人税の取扱い

法人税では、会社が災害の被害を受けた際の救済措置制度を設けています。

制度を活用しての税負担の抑制は、早期の復旧や経営回復に繋がりますので、今回は災害発生時における法人税の取扱いについて解説します

災害等による期限延長および納税猶予措置

災害その他やむを得ない理由により、申告や申請、届出などの提出期限および納付等を期限までにすることができないと認められる場合、その理由がやんだ日から2か月以内に限り、期限延長が認められます。

「災害その他やむを得ない理由」とは、申告等の不能に直接因果関係を有する次に掲げるような事実をいいます。

ただし、これらの事実に基因して資金不足が生じ、納付できないこととなったケースについては、延長対象には含まれません。

<「災害その他やむを得ない理由」に該当するケース>

  • ・地震、暴風、豪雨、豪雪、津波、落雷、地すべりなどの自然現象の異変による災害
  • ・火災、火薬類の爆発、ガス爆発、交通途絶などの人為による異常な災害
  • ・申告等をする者の重傷病、申告等に用いる電子情報処理組織で国税庁が運用するものの期限間際の使用不能など、自己の責めに帰さないやむを得ない事実

 
期限延長に関する措置は、個別指定による期限延長以外に「地域指定による期限延長」と「対象者指定による期限延長」があります。

これらの期限延長の適用対象となる地域や対象者の範囲、期日については指定され次第、官報に掲載されます。

災害損失特別勘定

災害損失特別勘定は、修繕費用等の見積額を損金算入できる制度です。

修繕費用等は、修繕等が行われた事業年度の損金として算入するのが原則です。

しかし、災害により被害を受けた棚卸資産や固定資産等の修繕等のために、災害のあった日から1年以内に支出する費用の適正な見積額として災害損失特別勘定に繰り入れた場合、繰り入れた金額をその事業年度の損金として算入することができます。

繰入限度額以下の金額を対象額とし、損金経理で災害損失特別勘定に繰り入れた金額については、災害損失の額に含まれます。

災害のあった日から1年を経過する日の属する事業年度において、災害損失特別勘定の残額がある場合、その残額を取り崩して益金に算入しなければなりません。

ただし、修繕等がやむを得ない事情により遅れているときは、税務署長の確認を受けることで、その修繕等が完了すると見込まれる日の属する事業年度まで、災害損失特別勘定の残額の益金算入を延長することが可能です。

災害で滅失・損壊した資産等の取扱い

災害により商品や事務所等の資産が被害を受けた場合、被災に伴う損失や費用については、損金として算入することができます。

ただし、怪我人への見舞金や被災者への弔慰金等など、滅失または損壊した資産に直接関連しない費用については、災害損失の額には含まれません。

<損金に算入できる商品等の損失・費用>

  • ・商品や原材料等の棚卸資産、店舗や事務所等の固定資産などの資産が災害により滅失または損壊した場合の損失
  • ・損壊した資産の取壊費用・除去費用
  • ・土砂などの障害物を除去のための費用

災害見舞金品の取扱い

災害により被害を受けた従業員等やその親族等に対して一定の基準に従って支給する災害見舞金品は、福利厚生費として損金算入が可能です。

自己の従業員等と同等の事情にある専属下請先の従業員等やその親族等に対し、一定の基準に従って支給する災害見舞金品についても、損金算入が認められます。

また、取引先に対して行った、被災前の取引関係の維持・回復を目的とした災害見舞金の支出や、事業用資産の供与等のために要した費用は、交際費等に該当しないものとして損金に算入することができます。

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