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経費と損金の違い。法人税の計算で誤りやすいポイントを解説

「経費」と「損金」は、同じような意味で用いられることもありますが、すべての経費を損金として算入できるわけではありません。

経費の損金算入・不算入は、法人税の税務調査で必ずチェックされるポイントですので、今回は経費と損金の違いと、損金に算入できない経費の種類について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

経費とは

経費は、企業が収益を得るために日常的に発生する支出をいいます。

製造業を営んでいる企業の場合、商品を製作するための材料費や人件費などが経費に該当します。

事業による収益を得るために支出していることがポイントで、事業を得る目的以外の支出については経費にはなりません。

損金とは

損金は、企業会計上の売上原価や販売費、一般管理費等の費用および損失に相当するものをいいます

損金の取扱いは法人税法第22条3項で規定されており、法人税は益金から損金を差し引いた所得金額に法人税率を乗じて税額を算出します。

企業会計上の経費に該当するものは基本的に損金に算入できますが、経費に該当するものであっても、例外的に損金にはならない経費も存在するので注意が必要です。

損金に算入できる経費の種類

損金に算入できる支出は、法人税法の規定や他の法令で損金算入・損金不算入の規定があるものを除き、次の3種類に区分されます。

  • ・収益に対応する売上原価、完成工事原価等
  • ・販売費、一般管理費等の費用
  • ・災害等による損失(資本等取引を除く)

収益に対応する売上原価、
完成工事原価等

収益に対応する売上原価、完成工事原価等は、商品の売上高に対応する売上原価や譲渡した資産の原価等をいいます。

売上原価には、事業年度の収益に対応する原価を計上する「費用収益対応の原則」があるため、事業年度末までに確定しない売上原価等については、その金額を適正に見積もり損金として算入します。

販売費、一般管理費等の費用

販売費、一般管理費等の費用は、収益と費用を個別対応で計算することが困難な「期間費用」をいいます

期間費用に該当するものは、費用が事業年度末までに債務として確定しているもの(償却費を除く)を損金として算入します。

将来発生することが見込まれる費用を見積もり、経費として計上した場合でも、法人税法で認められているもの以外は損金に算入できません

また、債務が確定しているかは、事業年度終了日までに次の要件をすべて満たしているかどうかで判断します。

  • ・費用に係る債務が成立していること
  • ・債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること
  • ・債務の額を合理的に算定することができること

災害等による損失

災害や盗難など、資本等取引を除く偶発的な原因による損失は、災害等の事実が発生した際の事業年度における損金として算入します。

損金不算入となる主な経費

会計上の経費は、基本的に損金として算入できますが、個別に損金不算入が規定されているものについては、経費に該当するものであっても損金不算入となります。

従業員給与・役員給与

従業員に対して支払う給与は、全額を損金として算入できますが、法人の役員と特殊の関係のある使用人(特殊関係使用人)に対する給与のうち過大な部分の金額は損金不算入となります。

役員給与(役員報酬)については、原則損金不算入です。

しかし、次のいずれかに該当する役員給与については、役員給与が不相当に高額であるものや、給与を支払った事実を隠蔽または仮装して経理した場合を除き、損金算入が認められます。

<損金に算入できる役員給与>

  • ・定期同額給与
  • ・事前確定届出給与
  • ・業績連動給与

接待交際費

法人が支出する交際費等は、原則損金不算入ですが、法人の区分に応じて一定の措置が設けられています。

たとえば、中小法人の場合、800万円または接待飲食費の50%のいずれか大きい額まで、交際費等の損金算入が認められています

法人税上の交際費等の範囲は、社会通念上の概念より幅広く設定されており、交際費や接待費、機密費だけでなく、得意先や仕入先などの事業関係者に対する接待や贈答などのために支出するものも含まれます。

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