土地の相続税評価額を計算する場合、評価対象地の地目によって評価方法が異なります。
評価方法を間違えると、相続税評価額を適切に算出できませんし、土地によっては登記地目と現況地目が異なる場合があるので注意が必要です。
本記事では、土地の地目の種類と、地目変更が相続税評価額に与える影響について解説します。
【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
相続税における地目の種類
地目とは、土地の利用目的に応じて設定される区分です。
土地の相続税評価額は、財産評価基本通達に基づいて計算しますが、同通達における地目は9種類に区分されています。
また、通達では地目の区分に応じて評価方法が定められているため、土地を評価する際は、最初に評価対象地の地目を確認する必要があります。
<相続税評価額の計算上の地目区分>
- ・宅地
- ・田
- ・畑
- ・山林
- ・原野
- ・牧場
- ・池沼
- ・鉱泉地
- ・雑種地
登記地目と現況地目の違い
登記地目は、土地の登記簿に記載されている区分をいいます。
登記地目は23種類あり、相続税評価額を計算する際には、不動産登記事務取扱手続準則第68条および第69条に準じて地目を判定します。
一方、現況地目は、実際の土地の利用状況に基づいて区分される地目です。
登記上の地目は畑であったとしても、実際には自宅の敷地として利用されている場合、現況地目は宅地となります。
相続税評価額を算定する際の地目の判定
相続税では、地目ごとの評価方法に基づき評価額を算定しますが、地目は課税時期の現況で判定します。
登記地目と現況地目は、基本的には同じです。
しかし、登記上の地目と現況地目が異なるときは、現況の地目に応じた評価方法で相続税評価額を求めることになります。
たとえば、登記地目は畑で、現況地目が宅地となっている土地の場合、相続税評価額は宅地として計算しなければなりません。
畑と宅地では、宅地の方が1㎡当たりの単価は高くなるため、登記地目と現況地目が異なるときは注意が必要です。
土地の地目変更が必要になるケース
農地として利用されている土地を宅地造成するなど、利用目的が変わる場合は、地目を変更する必要があります。
不動産登記法第37条(地目又は地積の変更の登記の申請)では、地目の変更日から1か月以内に登記変更の申請をしなければならないと規定されています。
地目変更を行わないまま土地を利用すると、税金や不動産取引に影響を及ぼす可能性があるため、登記地目とは異なる用途に供する場合は、変更後1か月以内に登記手続きを行ってください。