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経理と税理士の役割の違い。業務範囲と留意点を解説

経理と税理士は、いずれも会計や財務に関わる業務を担っており、企業の運営において欠かせない存在です。

ただし、役割や担当範囲には明確な違いがあり、その違いを正しく理解しておくことは、業務を円滑に進めるうえで重要です。

本記事では、両者の役割の違いや、それぞれの立場で意識すべきポイントについて、わかりやすく解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

経理と税理士の役割の違い

企業の財務管理は、日々の取引を正確に処理する経理と、税務という専門分野を担当する税理士の連携によって支えられています。

企業における経理の役割

経理は、企業のお金の流れを整理・記録し、日常の取引を正確に処理することで、経営の安定を支える役割を担っています。

主な業務としては、売上や仕入れの管理、請求書の発行、給与計算、決算準備などがあり、決算期には財務報告書の作成も行います。

企業の経理業務は、正確な会計処理を通じて経営判断に必要な情報を提供し、資金繰りの安定にも寄与します。

こうした役割を果たすうえで、企業の信頼を保つためにも、丁寧な財務管理は欠かせません。

また、近年では、会計システムなどのデジタル技術を導入した業務の効率化や、内部統制の強化も求められています。

税理士が担う業務の特徴

税理士は税務の専門家であり、法人税や消費税の申告、税務調査への対応、節税対策の提案などを主な業務としています。

顧問税理士は、企業の財務状況に応じた節税策を検討し、税務リスクの軽減にも貢献します。

税法や関連するルールは頻繁に改正されるため、経営者はそのたびに対応を求められます。

税理士は、最新の情報を把握したうえで、税制改正による影響を経営者に伝えるだけでなく、改正後に必要となる対応策を提案することも重要な役割です。

経理と税理士の業務範囲の違い

経理と税理士の業務は密接に関係していますが、日々の会計処理と税務対応という点で明確に役割が分かれています

経理と税務の関係

経理は、日々の取引データを整理・記録し、その正確な情報をもとに税理士が税務申告を行います。

経理データに不備がある場合、たとえ税理士が関与していても、正しい申告を行うことはできません。

申告の誤りは税務調査で指摘されるだけでなく、企業の信用問題に発展するおそれもあります。

そのため、正確な納税と企業の信頼性を高めるためにも、経理と税理士の連携は重要です。

申告書作成と税務相談の分担

申告書の作成や税務相談は、基本的に税理士の専門分野です。

経理担当者が税務申告を行うことも可能ですが、法人税や消費税の申告は内容が複雑なため、税務手続きは税理士に任せるのが安心です。

また、節税の提案や税務調査への対応といった専門的な業務にも、税理士の知識と経験が欠かせません

経理と税理士の連携が求められる場面

決算期や税務調査の際には、経理と税理士の連携が特に重要です。

決算時には、経理が日々の取引記録を整理した情報をもとに、税理士が税務申告を行うため、連携が不十分だと申告内容の正確性に支障をきたすおそれがあります。

税務調査では、申告内容の根拠となる帳簿書類が調査対象となることから、経理が過去の記録を適切に整理しておかなければ、税務調査官から指摘を受けるおそれがあります。

一方、税務署との対応や説明は税理士が担うことで、追徴課税のリスクを抑えることができます。

定期的な打ち合わせや情報共有を通じて準備体制を整えるためにも、日頃からの意思疎通が欠かせません。

経理担当者が意識すべきポイント

経理の業務は、企業の運営において欠かせない役割を担っています。

ただし、税務に関しては高度な専門知識が求められるため、自身の担当範囲を正しく把握することが重要です。

税務業務の外部委託の意義

経理担当者は、日々の会計処理や財務データの管理に専念することが求められます。

一方で、法人税や消費税の申告、節税対策、税務調査への対応といった税務分野は、専門的な知識と実務経験を有する税理士に委ねるのが適切です。

税務業務を外部に委託することで、申告ミスや法令違反といったリスクを最小限に抑えることができます。

また、税制は頻繁に改正されるため、最新の制度に対応するには、税理士との定期的な情報共有と連携が不可欠です。

税務に関する責任と役割の整理

税務に関する責任は、経理と税理士の間で明確に区分されています。

経理は帳簿書類を正確に管理し、税理士はそれらの情報をもとに申告内容を精査し、法令に準拠した手続きを行います。

このように、それぞれの立場で責任を果たすことが、企業全体のリスク管理体制の強化と、安定した経営の実現につながります。

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