当社は60歳定年制で、定年退職後の希望者は65歳まで引き続き雇用していますが、今後70歳まで雇用しなければならないというのは本当でしょうか。
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
2020年(令和2年)3月31日に高年齢者雇用安定法等の法案が参議院で可決され、成立しました。施行日は2021年(令和3年)4月1日となります。
高年齢者の雇用に関するルールは、現状では次のとおりとなっています。
- 1.定年を定める場合の年齢は60歳以上とすること(高年齢者雇用安定法第8条)
- 2.定年年齢が65歳未満の場合は、次の3つのうちいずれかの措置を講ずること(高年齢者雇用安定法第9条)
①65歳までの定年引上げ
②65歳までの継続雇用制度の導入(再雇用制度、勤務延長制度)
③定年廃止
これらは企業の「義務」ですが、改正後に企業に課せられるものは70歳までの就業機会を確保するための「努力義務」であり、罰則はありません。
その内容は「引き続き雇用する場合」と「65歳以降は自社で雇用しない場合」に分けられます。
◆引き続き雇用する場合
①定年延長
②継続雇用
③定年廃止
◆65歳以降は自社で雇用しない場合
④他社への再就職(子会社や関連会社を含む)
⑤フリーランスとして業務委託契約を締結する
⑥起業のための支援を行う
⑦社会貢献活動(NPO活動)参加に対する支援を行う
このうち、どれを選択するかは労使で決定することになります。
①~③までは改正前のものと内容的には同じであり、④~⑦が今回新たに追加されたことになります。
ちなみに「支援」とは「資金提供」を意味しているようですが、どの程度の支援をすれば良いのかは現時点で不明です。
さて、