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退職時に引継ぎをしない社員に賠償を求めることができるか

過去に当社を退職した社員の中には、就業規則に規定している業務引き継ぎをきちんと行わないまま、残っている有給休暇を全部消化して退職した者もいます。

引き継ぎが不十分のため、当社の業務運営上支障が生じた場合、損害賠償請求することは可能でしょうか。

【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘

社員の異動や退職に伴う「業務引き継ぎ」については、就業規則に規定を明記しているかと思います。

退職であれば次のような内容となっているでしょう。

「退職することが確定した者については、退職する日までに業務の引き継ぎを完了させなければならない。業務の引き継ぎが不十分であり、当社の業務に支障をきたした場合は、懲戒処分とする場合がある」

もし、引き継ぎを全くしなかったり、行っても不十分な場合、かつ、会社の業務に支障をきたしたことが明らかであれば、この就業規則の規定により懲戒処分にすることは可能です。

ただし、懲戒処分とするのであれば当該社員の在職中に行う必要があります。

では、在職中に懲戒処分することができず、退職後に引き継ぎが行われなかったことにより、損害賠償請求することはできるのでしょうか。

過去の裁判例で、躁うつ病になった社員がそれを理由に退職したものの、実は転職をしていたことが分かり、会社が社員の退職理由は虚偽で、業務の引き継ぎを行わずに退職したとして約1300万円の損害賠償請求を行ったというものがあります。

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