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経営者が不動産投資を行う税制上のメリット・デメリット

経営者の中には、資産運用や税金対策の観点から不動産投資を行う方もいらっしゃいます。

不動産投資によるメリットを最大限活用できれば、節税をしつつ資産を増やせますが、投資の失敗による資産減少のリスクも考慮しなければなりません。

本記事では、経営者が不動産投資を行う際の税制上の利点と、注意点について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

経営者が不動産投資を行うメリット

不動産投資は、不動産の賃貸や売却により収益を得る方法をいい、主なメリットとしては次の2点が挙げられます。

不労所得による収入源の確保

経営者は会社を運営している関係上、本業以外から収益を獲得するために割ける時間が限られていますが、不動産投資は物件を貸し出すことで不労所得が得られるため、本業に支障が出ない範囲で投資することができます。

経営者個人が所得を得た場合、所得税の課税対象となり、不動産所得は給与所得等と合算することになるので適用税率が高くなるのが難点です。

しかし法人として不動産投資を行えば、法人税として支払うことになるので、経営者の所得税の税率が上がることはありませんし、法人税の最高税率は所得税の半分程度なので節税効果も見込めます。

相続税の節税効果

相続税は亡くなった人の財産に対して課される税金であり、相続開始時点の財産の大小によって相続税の納税額が変化します。

相続税の対象となる財産は種類によって評価額の算出方法が異なり、不動産の相続税評価額は時価の8割程度に設定されています。

相続財産を現金・預貯金から不動産に変更した場合、評価額は2割程度下がりますので、財産の種類を替えるだけで節税効果が得られます。

また、不動産は相続開始時点の利用用途によっても補正計算を行うため、貸付用として利用すれば相続税評価額を更に下げることが可能です。

減額補正の割合は不動産の所在地等によって異なりますが、貸付用アパートであれば建物は3割、土地は2割程度の減額を期待できます。

経営者が不動産投資を行うデメリット

不動産投資にはメリットがある一方で、投資前に知っておくべき注意点もありますのでご紹介します。

資産価値の低下と損失が発生するリスク

不動産投資は必ず利益が発生する事業ではありませんので、投資したことで財産が減ることも想定しなければなりません。

個人が不動産投資による損失(売却による譲渡損を除く)が発生した場合、他の所得と損益通算が可能であることから、経営者個人の名義で不動産投資を行っていれば、不動産所得の損失額と給与所得等を相殺することができます。

損益通算を行えば税負担は軽減されますが、不動産価値の低下は資産の減少を意味し、不動産の市場価値が下落すれば空室率の増加により収益が悪化や、売却による譲渡損失の発生も懸念されます。

不動産を売却した際の利益に対しては譲渡所得税が課される一方で、不動産の譲渡損失は他の所得と損益通算をすることができません。

不動産の売却益と譲渡損失の損益通算は可能であることから、売却予定の不動産が他にあるときは、同年中に処分することも検討してください。

不動産価値の上昇による税負担の増加

不動産の価値が上昇すれば賃料を上げることも選択肢になりますし、売却による収益を得ることもできますが、売却益が大きくなる分だけ譲渡所得税の納税額が増加します。

相続税に関しても、不動産の価値が上昇すると相続税評価額は高くなりますので、相続税の納税額が増えることに繋がります。

また相続税は現金一括納付が原則であるため、相続財産の中で不動産の占める割合が多すぎると、相続税の支払いに困窮する可能性も出てきますので注意してください。

不動産投資は個人と法人のどちらで開始すべきか

経営者が不動産投資を行う場合、経営者個人名義で投資を始める選択肢と、資産管理会社を設立し、法人名義で投資を始める選択肢があります。

法人の方が節税対策を講じやすい

不動産投資は、個人と法人のどちらで事業を開始するかによって、対象となる税金の種類や税負担が変わってきます。

個人で不動産投資をする際は、所得税・住民税の対象になります。

所得税は課税所得金額が大きいほど税負担が重くなりますし、給与所得など他の所得と合計した額に対して税率を乗じることになります。

資産管理会社を設立して不動産投資を行う場合、利益は法人税・地方法人税の対象です。

法人税も所得税と同様、所得金額が大きくなるほど税率が上がりますが、最高税率は所得税(45%)の約半分の23.2%と低いです。

また、経費として計上できる範囲も個人より広いですし、不動産管理者として親族を据えることで報酬を支払い利益を抑えることも可能です。

青色申告を行えば、損失額を最大10年(個人は3年)繰り越せるため、長期的なスパンで事業展開できるのも法人のメリットです。

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