契約書のひな形、内容証明郵便書式、労務書式、
会社法議事録・通知書のテンプレートが無料

業務委託契約を結ぶ者に労災は適用されるか

当社との間で業務委託契約を締結している方が、業務中に負傷したので労災の申請をしたいと申し出てきました。

しかし、当社の社員ではないため労災の申請はできないと断ったところ、「それならば自分で申請手続きをする」と言ってきました。

当社としてはこの件について何ら関与するつもりはないのですが、この対応で問題ないでしょうか。


【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘

貴社の言うように、業務委託契約を締結しているいわゆる「フリーランス」については労働者ではなく個人事業主であるため、通常、貴社の労災保険の適用対象者とはなりません。

そのため、貴社が関与しないとする対応はごく当たり前の対応だと思われます。

ところが、 フリーランスであっても働き方によっては労働者とみなされ、労働基準監督署が労災保険の適用対象とするケースがでてきました。

アマゾンと業務委託契約を締結していた配達員の男性(60代)が、業務中に負傷したた め労災申請したところ、横須賀労働基準監督署は、この男性が会社から具体的な指示を受けて業務を行っていたことから労働者性が認められるとして労災認定しました。

また、フリーランスのカメラマンの男性(40代)が通勤途上の交通事故で負傷したため労災申請したケースでも、品川労働基準監督署は労働者性があるとして労災認定しました。

カメラマンの男性によれば、会社の作成したシフト表に従って業務を行っていたとのことで、このような対応が業務委託ではなく雇用であると判断されたものと思われます。

ところで労災保険には「特別加入」という制度があり、個人タクシーの運転手や大工、柔道整復師等の個人事業主においては災害の発生状況等からみて、労災に加入させることが 適当であるとして任意で加入することが認められています。(労災保険料は個人負担)

さらに2024年秋までにはどのような業種のフリーランスであっても、労災保険に加入することができるよう制度が改正される予定となっています。

働き方が多様化していることによる対応であり、改正に伴う加入対象者は約270万人に上るという試算があります。

経営に役立つ無料セミナー・無料資料請求
PREVNEXT