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印紙税の納付義務が生じる場面と収入印紙の貼付漏れに対する罰則

印紙税は、契約書や領収書などを作成した際に課税される税金です。

納付する印紙税の額は、課税対象となる文書の種類や、作成した文書に記載する金額によって異なり、収入印紙を貼らなかった際には過怠税が生じます。

本記事では、収入印紙の貼付が必要になるケースと、収入印紙を貼らなかった際の罰則規定について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

印紙税の納税義務者

印紙税は、課税文書を作成した際に納税義務が成立します。

印紙税の納税義務者は課税文書の作成者であり、課税文書の作成は課税文書となるべき用紙などに課税事項を記載し、文書の目的に従って行使することをいいます。

課税文書を共同作成した場合には、連帯して印紙税を納めることになりますが、委任に基づく代理人が委任事務の処理に当たって課税文書を作成したときは、作成名義人によって課税文書の作成者が変わります

作成名義人が代理人または、代理人と委任者の場合、課税文書の作成者は代理人です。

一方、委任者のみが作成名義人になる場合には、委任者が課税文書の作成者となります。

印紙税の課税範囲

印紙税の課税対象となるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られており、課税文書に該当するのは、次の要件にすべてに当てはまる文書です。

<課税文書の要件>

  • ・印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている、20種類の文書により証されるべき課税事項が記載されている
  • ・当事者の間において、課税事項を証明する目的で作成された文書である
  • ・非課税文書に該当しない

課税文書に該当するものとしては、企業間契約書や不動産売買契約書、金銭消費貸借契約書以外に、保険証書や預貯金証書などがあります。

また、非課税文書は次のいずれかに該当する文書をいいます。

<非課税文書に該当するもの>

  • ・別表第一の非課税物件の欄に掲げる文書
  • ・国、地方公共団体または別表第二に掲げる者が作成した文書
  • ・別表第三の上欄に掲げる文書で、同表の下欄に掲げる者が作成したもの
  • ・特別の法律で非課税とされている文書

課税文書の判定方法

印紙税の対象となる課税文書に該当するかどうかは、文書に記載されている内容に基づいて判断し、内容の判断は文書の名称や呼称、形式的な記載文言だけでなく、記載文言の実質的な意義に基づいて行います

「記載文言の実質的な意義」の判断は、文書に記載・表示されている文言や符号を基として、その文言や符号等を用いることについての関係法律の規定や当事者間における了解、基本契約または慣習等を加味して総合的に行います

たとえば、取引金額に記載のない文書でも、その文書に記載されている単価・数量・記号等に基づいて当事者間で取引金額を計算できるときは、課税文書に該当するので注意が必要です。

誤納付した印紙税が還付されるケース

収入印紙は、課税文書の種類や記載されている金額に応じて貼ることになりますが、次に該当するものは誤納付と認められ、印紙税の過誤納金の還付を受けることができます。

<過誤納と認められるケース>

  • ・書損等
  • ・納付額の超過
  • ・課否判定の誤り

書損等は、収入印紙を貼付または納付印を押した課税文書が書損や損傷、汚染などの理由で使用する見込みがなくなった場合をいいます。

印紙税の課税文書に貼り付けた収入印紙の額が、本来の貼付すべき額よりも過大となっているものは納付額の超過となります。

課否判定の誤りに該当するケースは、二重納付や課税文書と誤認して収入印紙を貼り付けたなど、印紙税の納付が不要な文書に対し、収入印紙の貼付または納付印を押した場合です。

誤納付した印紙税は手続きをすることで還付されますが、還付金に係る請求権を行使できる期間は、請求をすることができる日から5年です。

文書を作成した日から5年を経過した場合には権利が消滅し、還付の対象とはならなくなるので注意してください。

収入印紙は印紙税を納付する以外に、登録免許税や国への手数料の納付などにも使用されていますが、印紙税法に基づく還付対象となる収入印紙は、印紙税を納めるために貼付したものに限られます

したがって、登録免許税などを納付するために誤って貼り付けた収入印紙については、印紙税法による還付の対象にはなりません。

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