契約書のひな形、内容証明郵便書式、労務書式、
会社法議事録・通知書のテンプレートが無料

着服金額が僅少でも解雇有効となった裁判

先日、当社のグループ会社の経理社員が、数万円ほど着服していたことが判明しました。
正式な処分はこれから決定する予定ですが、仮に懲戒解雇とし退職金不支給としても問題ないでしょうか。

【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘

最近では大手銀行の女性職員が、顧客の貸金庫から金銭等を着服して逮捕されたことがニュースで大きく取り上げられました。

その結果、各銀行において貸金庫サービスの廃止を検討するという事態に発展してしまいました。
※現にサービスを終了するところも出てきているようです。

銀行はこの職員を懲戒解雇としました。

もし、この元職員が解雇は不当であるとして地位確認請求の訴訟を提起したとしても、その請求が認められることはあり得ないでしょう。
銀行の信用を著しく害した行為であって、被害者も多く被害総額も約14億円にものぼりますから。

では、今回のご相談のように、数万円の着服により懲戒解雇および退職金不支給となり訴訟となった場合、会社の対応は認められるでしょうか。

バスの運賃1,000円を着服した元運転手が懲戒免職となり退職金(約1200万円)も不支給となったため、処分が重すぎるとして退職金不支給処分の取消を求めた訴訟の上告審の判決が2025年4月にありました。
なお、着服した1,000円は弁済されています。

最高裁は、退職金不支給について処分は適法(=裁量権の逸脱は無い)と判断しました。

高裁では金額が少額であることから処分は重すぎる(=裁量権の逸脱である)として無効としていましたが、最高裁は「公務の遂行中における公金の着服は重大な非違行為」「着服行為はバス事業に対する信頼を大きく損なう」と結論づけたのです。

PREVNEXT

関連記事

消費税の軽減税率の対象範囲・経過措置・補助金について

消費税の8%から10%への引き上げが2019(平成31)年に予定されていますが、軽減税率について、その対象範囲や経過措置などについて教えてくださ...

労働保険未加入時の従業員の労災事故では保険給付は行われないのか?

会社を設立したばかりで、労働保険の加入の手続きをする前に、従業員の労災事故が起こりました。この場合、保険給付は行われないのでしょうか? 【この記事の著...

二次相続で税負担が増える?小規模宅地等の特例の節税効果と影響

小規模宅地等の特例は、相続税の負担を軽減するために有効な制度です。 しかし、適用する際は要件を満たすだけでなく、二次相続の影響を考慮した上で適用の可否...