合同会社の役員に子供を選任することには、事業承継の準備や税金対策といったメリットがあります。
しかし、経営への影響を考慮すると、デメリットも無視できません。
本記事では、子供を役員にする際のメリット・デメリットについて、具体的なポイントを交えて解説します。
目次
合同会社の役員に子供を選任することは可能か
合同会社は、出資者全員が経営者となる法人形態です。
株式会社では出資者と経営者が分離していますが、合同会社は出資者と経営者が同じです。また、株式会社のような「取締役」や「監査役」といった役職は存在しません。
経営は出資者である「社員」が担うことになりますが、社員の中から「代表社員」や「業務執行社員」を定めることができます。
役職に就くための法令上の要件は設けられていないため、子供を役員に据えることも可能です。
ただし、未成年者が会社の役員に就任する場合には、民法の規定により親権者の同意が求められるなど、一定の制限がある点には注意が必要です。
子供を役員に選任するメリット
合同会社の役員に子供を選任することには、事業の継続性を確保する上での利点だけでなく、税務面のメリットも期待できます。
家族経営による意思決定の円滑化
子供を役員に選任することで、経営の意思決定がスムーズになります。
経営に関する重要事項を家族内で迅速に決定できるため、柔軟な対応が可能です。
また、家族経営の強みを活かして、企業文化の継続や従業員との信頼関係の維持にも貢献できる点もメリットの一つです。
次世代経営者の育成と事業承継の準備
事業を長期的に維持するためには、次世代の経営者候補を育成することが不可欠です。
子供を役員に選任することで、経営に関与させながら実務経験を積ませ、事業運営の流れを理解させることができます。
役員報酬を活用した相続税対策
同族会社の事業承継においては、相続税対策を講じる必要があります。
相続税は被相続人の相続開始時点の財産が対象となり、合同会社の出資者である被相続人が亡くなった場合、出資持分も課税対象となります。
相続税評価額の算出方法は、持分の払戻しを受ける場合と持分を承継する場合で異なりますが、会社の資産価値が高いほど評価額が上昇する点は共通しています。
そのため、子供に役員報酬を支払うことで会社の資産を減らし、相続税評価額を抑えることで、相続税を節税することも可能です。
また、子供を役員に据えた場合には、要件を満たせば役員報酬の損金算入が認められるため、相続税対策を講じながら企業の財務負担の軽減効果も期待できます。
役員に子供を選任するデメリット
子供を合同会社の役員に選任する際は、事業の安定性や信用維持の観点からも判断する必要があります。
事業責任を負うリスク
未経験の状態で重要な意思決定に関わることは、事業運営上のリスクを伴います。
役員として選任された子供は、会社の業績や法的責任に影響を及ぼすため、役員としての資質が問われます。
そのため、補助的な役割からスタートするなど、実務経験を積ませる工夫をしながら、段階を踏んで経営に関与させることが重要です。
社内外の信用問題への影響
子供を役員にすることで、取引先や従業員からの信用に影響を与える可能性があります。
たとえば、経営経験のない子供を役員に就任させると、社内の人事や取引関係に疑念を抱かれる場合があります。
また、事業の継続性が疑問視されると、取引先との関係悪化につながるため、役員選任時にはその影響を十分に検討すべきです。