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特許と実用新案の違いとは?

特許と実用新案の違いについて教えてください。


【この記事の著者】 アイラス国際特許事務所 弁理士 高橋洋平

以下、特許と実用新案の共通点・相違点、及び、実用新案のメリット・デメリットについて簡単に説明します。

【共通点】
・保護対象は、自然法則を利用した技術的アイディアです。

・権利取得を希望する場合、特許庁に対して出願手続を要します。

・権利取得した場合、他社の模倣品の製造・販売等に対して、差止や損害賠償を請求することができます。

【相違点】
・特許法の保護対象は、技術的アイディアであれば制限はありません。これに対し、実用新案法の保護対象は、物品形状に関する技術的アイディアに限定されます。

・特許権は、特許庁審査官の審査を経て、特許要件(登録要件)を満たす発明(技術的アイディア)にのみに発生します。
それに対し、実用新案権は、特許庁審査官が登録要件を審査することなく、出願された考案(技術的アイディア)すべてに発生します。

・特許権の存続期間は、原則、出願日から最大20年です。それに対し、実用新案権の存続期間は、出願日から最大10年です(2014年1月26日現在)。

・特許権を有していれば、他社の模倣品に対し、何ら制限なく権利行使ができます。それに対し、実用新案権を有している場合、他社の模倣品を発見しても、自社の実用新案権の有効性を判断するための「実用新案技術評価書」を特許庁に請求し、それを相手方に提示しなければ、権利行使することができません。

【メリット】
・実用新案権は、ほぼ必ず発生します。
そのため、自社製品パンフレットなどの広告に、「実用新案登録製品」、「実用新案登録○○○号」などの「実用新案登録」という売上向上に貢献する宣伝文句を記載することができます。

・実用新案権取得期間は、通常、特許権取得期間よりも圧倒的に短期間です。実用新案権取得期間は一般的に2~4ヵ月間、特許権取得期間は早期審査時に最短6ヵ月間、通常審査時だと最短で数年間です。
そのため、登録後に通知される登録番号(実用新案登録○○○号)を広告に早期に記載することができます。

・実用新案権取得費用は、一般的に、特許権取得費用の半額以下であることが多いです。依頼する弁理士にもよりますが、たとえば弊所の料金体系ですと、実用新案権取得費用は約25万円、特許権取得費用は約50~80万円です。
そのため、実用新案権と意匠権の両方を取得しても、特許権取得よりも安く抑えることができるため、コストを削減しても自社製品を多角的に保護することができます。

【デメリット】
・IT系、化学系、医薬系の技術的アイディアを実用新案で保護できません。

・自社製品を出願日から10年以上保護したい場合、実用新案権であれば、その存続期間が出願日から10年なので不十分です。

・実用新案権が無審査で発生するため、登録要件不備により、権利行使ができなかったり、その権利が事後的に無効になったりする可能性があります。

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