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相続した土地の相続税路線価の割り出し方と、その際の注意点とは?

祖父が亡くなり、土地を相続することになりました。
国税庁の「路線価図」のホームページを見たのですが、どのように見ればいいのかわかりません。
相続税路線価の具体的な見方、割り出し方を教えてください。


【この記事の著者】 冨田会計・不動産鑑定株式会社 冨田建公認会計士・不動産鑑定士事務所
不動産鑑定士・公認会計士・税理士 冨田 建

前回、国税庁の「路線価図」のホームページから相続税路線価の調べ方をお伝えしました。
今回は、具体的に相続税路線価の割り出し方を解説します。

相続税路線価の具体的な割り出し方

ここでは前回同様、東京都千代田区麹町2丁目3番地の土地を相続したと仮定して進めていきます。

まず、「路線価図-国税庁」のサイトを開き、最新の年度のボタンをクリックします。

「東京都」→「路線価図」→「千代田区」→「麹町2」の順に進み、麹町2丁目3番地の土地の路線価の地図を開きます。

平成25年度分の麹町2丁目3番地は東西南北の4方向が道路に面しています。
仮に、新宿通りにのみ面している土地とすると、その道路上に上と下が黒で塗りつぶされた楕円の中に「3510B」と書かれています。

【1】「3510」とは、その地域の相続税路線価の世界での標準的な「㎡あたりの土地の単価」が3,510,000円/㎡という意味です。
図形の中の数字は千円単位で表示されています。

図形は、その地域の相続税路線価の世界での「地区区分」を示します。
じつは路線価図の上部の欄外に凡例が描かれているのですが、この場合の地区区分は「高度商業地区~道路沿い」ということになります。

相続税路線価の世界での標準的な「㎡あたりの土地の単価」とは、標準的な規模の整形地を前提としているのですが、実際の土地は不整形等のさまざまな増価や減価の要因の調整が必要となります。
そして、その補正は前もって調整率表なるものが用意されているのですが、その調整率表の活用に際して、この地区区分が影響してきます。

【2】「B」とは、借地権割合です。
これも上部の欄外に凡例が描かれているのですが、土地が「他人から借りている借地」の場合、Bは借地権割合が80%なので、本来的な土地の価格の80%を乗じて土地価格を計算するということとなります。

逆に土地が「他人に土地を貸している底地」の場合は、1-80%=20%を乗じることとなります。

ただし、これらの数値は「相続税路線価の世界での借地権や底地の本来的な土地価格に対する割合」であって、実際の借地権や底地の本来的な土地価格に対する割合は、いずれももっと低いと考えてよいでしょう。

もちろん、更地や自分で利用している土地の場合は、借地や底地などとは無関係ですので、借地権割合は無視していただいて結構です。

【3】麹町2丁目を含む路線価図を眺めていると、四角の枠の中に「公5-48」「基-4」と描いているマークがありますが、これはなんでしょうか。

これは、国土交通省が音頭をとって定めている公示価格・都道府県地価調査基準地価格の評価の地点を示しています。

公示価格・都道府県地価調査基準地価格とは、毎年1月1日(公示価格)、7月1日(都道府県地価調査基準地)時点の、一定の基準で選ばれた地域の標準的な土地の「世間一般から見て妥当と判断されるその地域の土地価格の㎡あたり単価の指標」をいいます。

つまり、相続税路線価図には公示価格の土地の地点や都道府県地価調査基準地の地点も描かれているということです。これは覚えておいて損はないでしょう。

相続税路線価の注意点

注意していただきたいのは、この相続税路線価とは、あくまでも「相続税上の財産評価の世界」での標準となる数値であることです。

そして、その水準は相場等に基づくその土地の本来的な「世間一般から見て妥当と判断される価値」、すなわち、「公正価値」とは異なり、実態として公正価値の5~8割程度で設定されていると考えてよいでしょう。

むしろ、先ほど【3】で触れた公示価格等こそが公正価値の指標と考えてよいでしょう。
もっとも、東京都心部のように地価の高い地域では、公示価格等ですらも実勢の6~8割程度のことがありますから、注意が必要です。

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