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現代社会では、日々、多くのトラブルが起きています。
その中でも多いのが、隣人トラブルでしょう。
とくに都市生活では、隣人による騒音トラブルを経験したことがある人も多いのではないでしょうか。
たとえば、大音量のテレビや音楽、自動車やバイクのエンジン音、マンション上階の住人の足音、隣の部屋で騒ぐ子供、隣家の飼い犬の鳴き声など、自分にとっては騒音ではなくても、相手にとっては不快な音になることがあります。
人間同士、対応の仕方で問題がこじれる場合も多々あります。
隣室の騒音を注意する意味で壁をドンドンと叩いたら、翌日ものすごい剣幕で隣人が怒鳴り込んできて関係が悪化したケース。
また、隣人の騒音に感情的になって苦情を言いに行ったら、さらに騒音がひどくなったり嫌がらせをされた、などということもあります。
問題の核心をチェック
10年ほど前、「騒音おばさん」という人が世の中で話題になっていました。
奈良県に住む主婦が、2年半の間、24時間CDラジカセからユーロビートなどの音楽を大音量で流し続け、ときには「引っ越し、引っ越し」と大声で叫び、近所の住人が健康被害にあったというものでした。
ワイドショーや週刊誌などで連日報道されていたので、覚えている人も多いでしょう。
結局、2005年に傷害罪で逮捕され、2007年には最高裁で実刑が確定。懲役1年8ヵ月が言い渡されました。
その後、千葉や大阪、茨城などでも同様の事例で逮捕された人がいます。
さらには最悪の場合、騒音トラブルが放火や殺人にまで発展したケースもあります。
「ピアノ騒音殺人事件」
1974年、神奈川県平塚市の県営住宅に住んでいた男(当時46歳)が、階下の部屋のピアノの音がうるさいと苦情を訴えた。
当時は、子供の習い事としてピアノやエレクトーンが流行していた時代で、騒音問題が取り沙汰されていた時代でもあった。各自治体が主導して演奏時間の限定などの自粛を進めていたが、徹底されていたわけではなかった。
男は次第に、「わざと騒音を立てて嫌がらせをしている」と思い込むようになり、ついには刺身包丁を持って階下の部屋に侵入。
演奏していた長女(当時8歳)と次女(当時4歳)を殺害。帰ってきた母親も殺害し逃亡したが3日後に自首。1977年に死刑が確定した。
話し合いで解決できたかもしれない問題が、悲惨な結末に発展してしまった例です。
では、騒音による隣人トラブルには、どのように対処したらいいのでしょうか?
リーガルアイ
騒音トラブルでは、まずは双方が冷静に対処することが必要ですが、人間同士はどうしても感情的になってしまうこともあります。
特に、心安らかに過ごせるはずの自宅で騒音に悩まされると、感情的になりやすいでしょう。
もちろん、法律に訴えることもできますが、騒音トラブルがあるからといって、すぐに訴訟というのは早計です。
たとえば、隣の部屋の音楽など騒音がうるさければ、まずはマンションの管理会社や管理組合に相談して、第三者から伝えてもらうのがいいでしょう。
管理規約、賃貸借契約書などには騒音など迷惑行為の禁止を義務付けているはずです。
その際、騒音元の部屋の両隣りと上下階の住人がどう感じているかを調査しておくのも有効です。
それでも騒音が治まらないようであれば、弁護士に相談するのも手です。
まず、「内容証明郵便」を送ります。
効果がなければ「調停」や「訴訟」ということになります。
訴訟では、「損害賠償の請求」の他、あまりにひどいときは、部屋の使用を禁止する「使用禁止の請求」や、部屋を競売にかけて手放させる「競売の請求」などもあります。
その際、法律的には「受任限度」が問題になってきます。
「受任限度」とは、一般人が社会生活で我慢すべき限度のことです。
多数の人が生活する社会においては、ある程度のことは我慢せざるを得ませんが、