売上が不振なので打開策として値引きを考えているのですが、経営戦略として問題ないでしょうか?
【この記事の著者】 江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史
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値引きをすると、売上1件あたりの利益確保が相当難しくなります!
売上は以下の式から生まれます。
売上高=販売数量×販売単価×購入回数
売上を伸ばすために販売単価を下げるとすると、売上高を維持するためには、その値下げした分だけ「販売数量」や「購入回数」を上げる必要があります。
「競争が厳しいから値下げすれば売上が伸びるのでは……」という気持ちはわかりますが、値下げをしてしまうと、以前と同額の利益を確保することが相当困難になることは覚えておいてください。
値引きが及ぼす利益への影響とは?
例えば一杯300円の牛丼があります。
原価を120円とすると一杯あたりの利益は、以下のようになります。
販売価格300円△原価120円=利益180円
次に、この牛丼を3割値下げして販売すると一杯あたりの利益は、こうなります。
販売価格210円△売上原価120円=利益90円
すると、一杯あたり利益は半分ですので、売上を倍増しなければ、値引き前と同じ利益水準を確保することができません。売価は3割引きでも、利益に与えるインパクトはそれ以上なのです。
このように、売上の値引きが利益に与える影響は大きいため、値引き戦略を採用するのであれば、売数量がどれだけ増加する見込みがあるのか、慎重に見極めてから値引き戦略をする必要があります。
ちなみに、ソフトバンクが携帯電話事業に参入した時には、どれくらいのシェアを獲得すれば黒字化が見込めるのか、価格設定の際に相当なプランをシミュレーションしたといわれています。
自社商品・サービスの本質を見直す
また、安易に値引きをすることはブランドの棄損にもつながります。
一時期マクドナルドは値引き戦略を多く提供したものの、本来売りたい高額セットの販売にはつながらず、結局は全体の不振につながりました。
値引き戦略を採る時には、原価の見直しを行い、利益率を上げることも有効です。
もちろん、値引きすることで提供する品やサービスの質が悪くなっては、どんどんお客さんが離れていくことになりかねません。
ユニクロが苦戦しながらもブランド力をつけ業績を伸ばしてきた背景には、