損益計算書で会社の収益性を見るにはどうすればよいのでしょうか? ポイントを教えてください。
【この記事の著者】 江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史
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まずは、「時系列分析」や各段階の「利益率」を確認してみましょう。
時系列分析と利益率
「損益計算書」は会社の1年間の成績表ですが、会社の本当の実力を見るには1年間だけではわかりません。
やはり、3年分ぐらいは推移を見てみましょう。
たとえば、同じ事業で直近の売上高がやはり同額100のA社とB社があったとします。
直近の売上だけ見れば同じですが、過去3期分を並べてみると下記の図表のようになります。
さらに、グラフなどの図解も有効です。
ちなみに過去の推移ですが、大切なのは金額だけではなく利益率の推移にも気をつけて見てみることです。
このように、時系列で並べてみたり、利益率を見たり、同業者と比較すると、どちらの会社が成長しているのか、収益性が高いのか一目瞭然です。
ただ、売上高だけを見ていても何もわかりません。
時系列に会社を見る「垂直視点」と、同業者と比較する「水平視点」を用いて会社の収益力を確認していきます。
その際には売上、利益といった金額も大事ですが、「利益÷売上」で算出される利益率も大事です。
たとえ売上高を上げたとしても、利益が出なければ意味がありません。
どれだけの割合が利益として計上されたのか、利益率を出すことで収益性がより実感できますので、ぜひ利益率も確認していきましょう。
たとえば、上記の例ではA社もB社も第3期目の売上高は100で同じです。
ただ売上高だけを比較していては、どちらが優良企業かわかりませんが、利益を比較して見ればA社の方が良い企業であることが分かります。
営業利益率とは
さらに、営業利益率を比較すればA社の方がB社より収益性が高いことがわかるかと思います。
営業利益率を上げるためには、まずは「売上総利益率」を上げる必要があります。
ちなみに、この売上総利益率は、実務上は「粗利益率」=「あらり」と呼ぶことが多いです。