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認知症などの高齢者の方や、知的障害、精神障害などの障害を持っている方で判断能力が不十分な場合、困る問題が出てくる可能性があります。
たとえば、以下のようなことをする場合です。
・預貯金や不動産などの財産管理
・介護サービスや施設への入所などに関する契約
・遺産相続での分割協議や遺言書の作成
よく判断ができないばかりに、自分に不利益な契約を結んでしまったり、悪徳商法の被害にあってしまったり、遺産相続の決定ができなかったりというおそれがあります。
また、現在は元気で判断能力は十分あっても、病気やケガなどの影響のために将来的に自分で判断できなくなってしまったら困るし、不安だという方もいます。
今回は、ある1人暮らしのご婦人の悩みから、老後の不安を解決する方法を探ってみます。
問題の核心をチェック
現在、1人暮らしで年金生活をしている60代のご婦人。
数年前、ご主人に先立たれ、子供はおらず兄は高齢、親族とはもう何十年も会っていなくて疎遠だといいます。
今はまだお元気ですが、この先、病気になったり認知症にでもなったとき、お金の管理などはどうすればいいのか、どうやって生活していけばいいのか、老後に不安を抱えているようです。
リーガルアイ
「成年後見制度」というものをご存知でしょうか?
これは、高齢者や障害者などの財産管理や、生活支援をするための制度で、「法定後見」と「任意後見」があります。
法定後見については以前、解説しました。
詳しい解説はこちら⇒「父が認知症に…どうする?遺産相続問題」
https://myhoumu.jp/legaleye060/
認知症や精神障害、知的障害、頭部外傷による高次脳機能障害などで、すでに本人の判断能力が低下してしまったときに利用できるのが法定後見制度です。
一方、今回の相談者のように、まだ元気なうちに将来のリスクに備えて後見人を決めておくには任意後見を利用するのがいいでしょう。
【任意後見とは】
あらかじめ、自分で選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活や療養看護、財産管理などに関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書によって結んでおくというものです。
【任意後見契約の手続き】
①後見人になってくれる信頼できる人を探す。
②契約内容を決める。生活や財産管理について、自分の希望を盛り込んでおく。
③公証役場で、公証人に「公正証書」を作成してもらう。
後見人の契約者を「任意後見受任者」といいます。
これは、家族や親族である必要はありませんが、もし周囲に適切な人がいない場合は、弁護士会や司法書士会などに相談すれば、候補者を紹介する団体等を紹介してくれます。
【任意後見契約の費用】