赤字企業の場合、税務署の税務調査が入らないという話を聞いたことがありますが、本当でしょうか?
【この記事の監修者】 讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
前回、赤字会社が負担するべき税金について解説しました。
①消費税
②源泉所得税
③個人住民税(特別徴収の場合)
④健康保険・厚生年金・介護保険料・雇用保険などの社会保険料
⑤住民税の均等割(法人の場合)
これらの税金は、たとえ赤字の会社でも納めなければいけないものです。
ところで、赤字=税務署とは無縁、と思っている経営者もいますが、それは大きな勘違いです。
赤字でも税金がかかるということは、税務調査の対象になることを意味するからです。
赤字の会社に対する税務調査の手法とは?
たとえば、ある会社の税務調査で、社長が調査官と次のような会話をしました。
社長「赤字だと税務調査がないと聞きますが」
調査官「そんなことはありません。消費税や源泉所得税も調査の対象になります」
調査官は露骨に嫌な表情をして、社長は失言だったと悟り、気まずい空気が流れましたが、実際は調査官の発言がもちろん正解です。
また、こんな事例もありました。
累積赤字が多額の会社に税務調査が入りました。
この場合、いくら所得金額の計上漏れを見つけても、累積赤字が減るだけで法人税は1円も課税されません。
しかし、調査官が目をつけたのは外注費でした。
帳簿上は「外注費=請負契約」の形式でしたが、偽装請負ではないのかと疑いました。
偽装請負とは、実態は雇用契約なのに形式は請負契約のことをいいます。
調査の結果、