株式交換・株式移転という言葉を目にすることがありますが、これは何のために行うものなのでしょうか?
【この記事の著者】 江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史
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「株式交換」・「株式移転」とは、ある会社が他の会社を100%の完全子会社とするM&Aの手法です。
両者とも取得対象会社を100%子会社とする点では同じですが、株式移転では新設会社を設ける点が株式交換とは異なります。
企業を買収するには、当該企業の意思決定権を取得する必要がありますが、現金で株式を取得するためには相応の資金力が必要です。
そこで現金を使わずに、会社を取得する手法として株式交換・株式移転という方法があるのです。
株式交換は、ある会社がその発行済みの株式を別の会社の株式と交換して完全親子会社関係を作る手法です。
株式交換では、B社株式を保有するB社の株主に対して、A社がA社株式をB社株式と交換で交付するという手法が使われます。
その結果、B社株主はA社株式を保有し、B社株式をA社が保有することで、A社とB社が親子会社関係になるのです。
特徴としては現金を伴わずに完全子会社を設けることができるので、株価が高い会社が好んで用いる手法です。
近年の例では、ソフトバンク社が同業のイー・アクセス社の取得において、株式交換を用い、完全子会社化しています。
一方、株式移転は、ある会社がその発行済み株式の全部を株式移転により設立する完全親会社に移転し、その代わりに親会社が完全子会社となる株主に完全親会社の株式を交付するという手法です。