放置プレイも度が過ぎれば犯罪になる!?保護責任者遺棄罪を弁護士が解説



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全国の各自治体では、いわゆる「放置自転車」が問題になっているところがあります。

駅前や商店街など、歩行の邪魔や危険になる放置自転車は迷惑なものです。

また、卒業シーズンになると、卒業生が残していった放置自転車に大学側が苦慮しているケースも増えているようです。

一方、人間を放置したままにしておくと、どうなるでしょうか?

放置プレイなら、マニアな世界の人たちの趣味ですから、当人たちが楽しめればいいでしょう。

ところが、実際に人を放置して死亡させてしまうという事件が起きてしまいました。

事件はこうして起きた

「82歳の同居女性置き去りで死亡 50歳男を逮捕 奈良」(2014年1月10日 産経新聞)

歩行が困難で介助が必要な女性(当時82歳)を、同居していた男がアパートの部屋に置き去りにしたとして、奈良県警捜査1課と生駒署は土木作業員の男(50)を「保護責任者遺棄」の疑いで逮捕しました。

報道によると、2013年10月末、部屋から異臭がしたため、アパートの所有者が同署に通報。
室内を確認したところ、女性の遺体が発見されたということです。

男と女性は1994(平成6)年頃から同居していたようですが、昨年の8月頃、男は女性を置き去りにしたまま、その後は各地を点々としていたといいます。

容疑者の男は「置き去りにすれば楽になれると思った」と供述し、容疑を認めているということです。

リーガルアイ

保護責任者遺棄罪とは、どのような刑罰でしょうか? 「刑法」の条文を見ていきましょう。

「刑法」第218条(保護責任者遺棄等)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。


寝たきりの親に対する子や、幼児に対する親などの親族が、必要な食事を与えないような場合が代表的なケースです。
また、親族に限らず看護師やベビーシッター等、仕事上保護の責任がある者も含まれます。

さらには、本来保護義務を負っていなかったはずの者であっても、たとえば好意で介抱してあげた、車で病院に連れて行ってあげたなど親切心で要保護者の保護を開始すれば、保護義務を負わされることもあります。

保護の義務の有無に関わらず、自分が保護しなければその人が身を守ることが難しいような関係になった場合には、法律で保護する責任を認めている、ということです。


保護責任者遺棄罪には、以下のように、さまざまな例があります。

・病気のため身体の自由を失っている65歳の実母に適切な食事を与えるなどしなかった事案
(大判大8・8・7録25-953)

・いわゆるひき逃げの事案において、被害者をいったん自動車に乗せて事故現場を離れ、その後降雪中の薄暗い車道上に放置した事案
(最判昭34・7・24集13-8-1163)

・衰弱して凍傷や骨折により日常の動作が不能になった実子に医師の治療を受けさせなかった事案
(最決昭38・5・30裁判集147-409)

・14歳から2歳までの実子4人を自宅に置き去りにした母親の事案
(東京地判昭63・10・26判タ690-245)


今回のケースでは女性が死亡しているため、置き去りとの因果関係が認められれば「保護責任者遺棄致死罪」になるでしょう。

過去の判例では、

・被告人らが注射した覚せい剤により錯乱状態に陥った少女を放置して立ち去ったところ、同女が死亡した事案
(最決平1・12・15集43-13-879)


があります。

記憶に新しいところでは、2009年、俳優の押尾学氏が六本木ヒルズのマンションの部屋で、合成麻薬MDMAを服用し、その際一緒にMDMAを使用したホステスが意識不明になって保護が必要な状態になったにもかかわらず放置し、死亡したとのことで、保護責任者遺棄致死罪に問われたことがありました。


ところで、保護責任者遺棄罪になり得る例は、あなたの身近にもあります。
会社の同僚とお酒を飲み、泥酔したのでそのまま放置したところ、その同僚が凍死などした場合、保護責任者遺棄致死罪に問われる可能性があります。

過去には、泥酔状態にある被害者を家に連れて帰ろうとしたが動かないため、寒くなれば起きるだろうと衣服をはぎ取りながら引きずったもののなお動かないため、全裸状態で放置して帰宅したところ、被害者が凍死した事案で、保護責任者遺棄致死罪を適用した判例があります。

2012年にも、大阪のガールズバーで、泥酔したアルバイトの女性を放置して死亡させたとして、ガールズバーの経営者が逮捕された事件がありました。
この事例は、経営者が女性に上着をかけるなどの行為をしていたことから、保護責任者遺棄致死罪の適用は認めず、業務上過失致死罪の成立を認めました。


注意してください!
保護責任者遺棄致死罪でも業務上過失致死罪でも、刑罰であることに変わりはありません。
場合によっては、3ヵ月以上15年以下の懲役になるかもしれません。


ただし、保護ができないような場合もあります。
たとえば、男性と女性が2人で飲酒して、男性の方が泥酔して外で寝込んでしまった場合、女性の力では保護ができない可能性があります。

気温や人通り、泥酔の程度など、状況次第ですが、このような場合には保護責任者遺棄罪は成立しにくいでしょう。警察に連絡して保護してもらうのが賢明かもしれません。

「酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」という法律には、警察官は酩酊者の保護をする義務がある、とあります。泥酔した人の面倒を看るのは、

 

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