母校から寄付金の募集がありました。寄付金は必要経費と認められますか?
【この記事の著者】税理士法人晴海パートナーズ 税理士 小島 浩二郎
http://harumi-partners.jp/
寄附金はその性質上、反対給付、いわゆる見返りを求めませんので、原則として必要経費や損金算入とすることはできません。
しかし、クリニック等の事業を遂行する上で必要な寄附金もあります。そういう場合は、一定の制限を設けて必要経費または損金算入を認めています。
個人のクリニック等の場合
国等や特定公益増進法人などに寄付をした場合、「寄付金控除」を受けることができます。
この特定公益増進法人で有名なものに、ユニセフや日本赤十字があります。
また、多くの学校法人も特定公益増進法人に含まれています。
(参考サイト:財務省「平成24年4月1日における特定公益増進法人一覧」
http://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/tokutei_koueki/h24_ichiran/)
これらの特定公益増進法人に寄付をした場合、以下の金額が寄付金控除として所得から控除できます。
次のいずれか低い方の金額-2千円=寄附金控除額
1.その年に支出した特定寄附金の合計額
2.その年の総所得金額等の40%相当額
ただし、母校であっても子息や子女等の学校の入学に関してする寄附金は特定寄附金の対象とはなりませんので注意が必要です。
入学に関する寄付金は、その寄付が入学の条件とされているものですが、入学が決定した後に、他学年の生徒が同一の条件で募集される寄付であれば、入学とは因果関係がないため寄付金控除の適用を受けることができます。
医療法人の場合
法人では、寄付金を経費として計上することに一定の制限を設けています。
(参考サイト:国税庁「寄附金を支出したとき」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/kurashi/html/04_3.htm)
今回のご質問の場合、法人税法上で損金算入できる寄付と認められても、母校という理由だけでは医療法人が負担すべきものではなく院長個人のものと考えるため、医療法人が支払った寄付は院長先生自身の給与として扱われてしまいます。もちろん、院長先生の方で寄付金控除は可能です。
なお、医療法人と大学の医学部とで人的な交流等があり、