数字が苦手なのですが、企業会計に関して最低限何を意識して学べばいいでしょうか?
【この記事の著者】 江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史
http://www.eguro-cpa.com/
会計を勉強するぞ! と思ったのに途中で挫折してしまう方がいます。
それは、「簿記」に原因があるかもしれません。
私自身、「借り方」や「貸し方」、「仕訳」といった用語が好きな経営者にはお会いしたことがありません
そこで、経営者の方は何よりもまず、「会社の数字=単価×数量」という基本の公式を意識してみましょう。
【会社の数字を分解する意識を持つ】
売上であれば、「売上高=販売単価×販売数量」です。
この公式を意識するだけでも、自社の売上を見る目が変わるはずです。
この公式は、さまざまな勘定科目に適用できます。
在庫であれば、「在庫=在庫単価×在庫数量」
人件費であれば、「人件費=平均給与×従業員数」
地代家賃であれば、「地代家賃=坪単価×坪数」
このように、「会社の数字=数量×単価」の公式で会社の数字を分解する意識を持ってみてください。
たとえば、自動車メーカーの決算書上の在庫が1億円とします。
ここで、1億円という数字から何が読み取れるでしょうか?
会計の公式を使えば、
「当社の単価は1台100万円だから在庫台数が100台か。予算よりも販売できずに在庫が残ったな」
という具合に、瞬時に判断ができます。
また、仮にオフィスの賃料を1坪=3万円/月で30坪借りていれば、家賃は「3万円×30坪=90万円」となります。
1坪=3万円とわかることで、自分が使っているスペースにいくらの賃料が発生しているのか把握できるとともに、無駄なオフィススペースがないかという検討もできます。
このように会社の数字を分解することで、じつは会社の数字がすべて積み上げでできていることが意識できるでしょう。
【経営戦略に欠かせない会計の公式】
この公式を意識することで、売上が伸びたのであれば、販売単価が上がったのか、販売数が伸びたのか、次の経営戦略に活かすことができます。
たとえば、100万円の商材を50人に販売した会社の売上は、
「100万円×50人=5千万円」です。
翌期において、売上高を販売数量と販売単価とに分けると売上が分析できるのです。
【前期】
単価(千円) | 販売量 | 売上高(千円) |
1,000 | 50 | 50,000 |
【販売量が伸び、売上が伸びた成功例】
単価(千円) | 販売量 | 売上高(千円) | 分析結果 |
1,000 | 70 | 70,000 | 販路拡大に成功。翌期は単価UPか更なる販路拡大へ |
【販売量が減り、売上が減少した失敗例】
単価(千円) | 販売量 | 売上高(千円) | 分析結果 |
1,000 | 30 | 30,000 | 販売量回復に向け営業強化か製品価値を上げて販売単価の上昇へ |
このように、「販売単価×販売数量」を見ることで、ただ売上が増えた、減ったで一喜一憂するのではなく、しっかりと会計を意識した上で売上分析ができるのです。
1万円の売り上げでも、100億円の売り上げでも、その背景は「売上高=販売単価×販売数量」です。
どんなに大きな売上高であっても、小さな数字が積み上がってできていることを意識しましょう。意識をすることが、みなさんの会計力を上げていきます。