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2014年5月20日に施行された「自動車運転死傷行為処罰法」は、危険で悪質な運転による事故に対し、従前よりも厳しい刑罰で対応するために成立したものです。
しかし、依然として危険運転による事故は後を絶たないのが現状です。
今回は、親子5人が死傷した凄惨な事故と危険運転致死傷罪について解説します。
(※本記事は2015年6月11日時点の報道により作成しています)
事件はこうして起きた
「北海道4人死亡事故:飲酒は複数の店か 100キロ超走行」(2015年6月11日 毎日新聞)
北海道砂川市の国道12号で車2台が衝突するなどして一家4人が死亡、1人が重体となった交通事故について概要を時系列にまとめます。
・6月6日午後10時35分ころ、北海道砂川市の国道12号の交差点付近で、乗用車と軽ワゴン車の出会い頭の衝突事故が発生。
・7人が病院に搬送され、軽ワゴンを運転していた男性(44)と妻(44)、長女(17)が死亡。次女が重体。乗用車に乗っていた3人もケガをした。乗用車は炎上、軽ワゴン車は現場から約60メートル飛ばされていた。
・その後、現場から800メートル離れた路上で、長男(16)が死亡しているのが発見される。衝突事故で車外に投げ出された後、別の車に引きずられたとみて、ひき逃げの疑いで捜査が進められる。
・7日午前、ひき逃げをしたとして、男(26)が出頭。男は事故を起こした乗用車の後ろをピックアップトラックで走行していた。
・8日、道警砂川署は衝突現場に両方の自動車のブレーキ痕がないことから、どちらかが信号無視をした可能性があるとして捜査を続行。現場付近の防犯カメラの映像から、乗用車と後続のトラックが猛スピードで走行していたことと、乗用車の進行方向側が赤信号だった可能性が判明。
・9日、ひき逃げをしたトラックが蛇行運転をしていた疑いが浮上。トラックに引っかかった被害者を振り落とそうとしていた可能性もあるとみて捜査を継続。なお、トラックの運転手と乗用車の運転手は幼なじみの友人であることが判明。
・出頭した男を、道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕。現場から立ち去った理由について、「任意の自動車保険に加入していなかった」と供述。
また、事故前に同乗者と居酒屋でビールを飲んだと話したことから、飲酒の検知を避けるために逃げた可能性もあるとみて、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)容疑等での立件も視野に捜査。
・11日、乗用車に乗っていた3人とトラックに乗っていた2人、計5人が事故当日の夜、居酒屋で飲食していたことが判明。また、砂川署は容疑者の男を札幌地検岩見沢支部に送検した。
リーガルアイ
【危険運転致死傷罪と過失運転致死傷罪の違いとは?】