女性をナンパしたことがある、もしくはナンパが趣味?という人は要注意です。
その行為、犯罪になる可能性があります。
今回は、迷惑な「つきまとい行為」について法的に解説します。
目次
つきまとい行為に関する軽犯罪法違反事件はこうして起きた
「“彼女になってもらえると…”警官装い、女子高生につきまとった60歳無職男を書類送検」(2016年2月9日 産経新聞)
警察官を装って女子高校生につきまとった大阪市の無職の男(60)を、大阪府警天王寺署が書類送検、容疑は軽犯罪法違反(官名詐称、つきまとい)。
2015年11月4日、容疑者の男は、大阪市天王寺区内の地下街で大阪府内に住む10代の女子高校生に対し、「はよちゃんと帰りや。おっちゃん少年課の人間やからほっとかれへんねん」などと声をかけ、その場から逃げようとしたところ、約5・5メートルつきまとった。
女子高校生が同署に相談し、現場の防犯カメラの映像から男の関与が浮上した。
男は、「独り身でさみしかった」、「警官だと名乗れば補導の名目で名前や連絡先を知ることができると思った。その後に連絡を取り合い、彼女のような存在になってくれることを期待していた」などと供述。
同署の取り調べによると、男は2015年の夏ごろから女子高生に声をかけるようになり、声をかける際、自分の本名と住所が書かれた紙切れを渡していたという。
つきまとい行為と軽犯罪法(弁護士解説)
軽犯罪法とは?
軽犯罪法では、33の軽微な秩序違反行為を罪として規定しています。
たとえば、空き家に忍び込む、仕事をせずにうろつく、人などに害を加える動物を逃がす、騒音で近隣住民に迷惑をかける、うその犯罪や災害を申告した、他人の業務をいたずらで妨害したなどです。
今回の事件、容疑は「官名詐称」と「つきまとい」です。
「軽犯罪法」
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
15.官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者
28.他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者
・拘留とは、受刑者を1日以上30日未満で刑事施設に収容する刑罰です。
・科料とは、1000円以上、1万円未満の金銭を強制的に徴収する刑罰です。
・15号に関しては、警察官や消防士、自衛官などのコスプレで外出しても逮捕される可能性があります。
・28号に関しては、条件が該当すれば「ストーカー規制法」が適用される可能性があります。
軽犯罪法違反の関連解説
ストーカー規制法における“つきまとい行為”とは?
ストーカー規制法は、正式名称を「ストーカー行為等の規制等に関する法律」といい、1999(平成11)年に起きた「桶川ストーカー殺人事件」をきっかけに、2000(平成12)年11月に制定された法律です。
その後、2012(平成24)年に発生した「逗子ストーカー殺人事件」を受けて、2013(平成25)年6月に改正法されています。
ストーカー規制法
第2条(定義)
1.この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
前述のように、つきまとい行為は軽犯罪法よりも重いストーカー規制法に問われる可能性があります。
つきまとい行為には次の8つが規定されています。
①待ち伏せ、尾行、および自宅や勤務先を見張り、押しかけること。
②行動を監視していると告げる行為。
③面会や交際、その他義務のないことを行うことの要求。
④著しく粗野、乱暴な言動。
⑤無言電話、連続した電話・FAX・メール。
⑥汚物・動物の死体等の送付。
⑦名誉を害する事項の告知。
⑧性的羞恥心を侵害する事項の告知、わいせつな写真・文章などの送付、公表。