学生時代、試験でカンニングをしたことがあるという人もいるかもしれません。
まさか、弁護士や税理士などの士業の資格試験でカンニングをしたことがある人はいないと思いますが…もしもしたことがあるなら、それは犯罪になる可能性があります。
事件はこうして起きた
「“資格ほしかった”運送会社の社員9人で集団カンニング…兵庫県警、容疑で書類送検」(2016年7月20日 産経新聞)
ドライバーの勤務状況や安全管理などを指導・監督する「運行管理者」の資格試験で集団カンニングをしたとして、兵庫県警捜査1課などは同県姫路市の運送会社社員の男9人を偽計業務妨害容疑で書類送検した。
2016年3月6日、神戸市東灘区で行われた、公益財団法人「運行管理者試験センター」(東京)が主催する資格試験でのこと、終了時刻前に会場を出た男(27)が他の8人に携帯電話を使って解答案をメールで送信。
8人のうち、不審な様子の1人が、電源が入った状態の携帯電話を所持していた。
不信に思った試験官が声をかけたところ不正が発覚したという。
その後の調査で、9人の解答がほぼ一致していたことを確認。
同センターが県警に被害届を提出した。
9人は全員が容疑を認めており、「転職に有利な資格がほしかった」などと供述している。
試験はマークシート方式で、9人が受験した昨年度の試験の合格率は27・4%だったという。
リーガルアイ
この事件における容疑者9人の書類送検容疑は偽計業務妨害罪です。
「刑法」
第233条(信用毀損及び業務妨害)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
「虚偽の風説の流布」とは、不特定多数の人に真実とは異なった内容の虚偽・ウソを知れ渡るよう広めることです。
なお、偽計業務妨害罪は噂として広めることでも犯罪が成立しますが、その噂やウソが本当のことだった場合は、法律上は罪には問われないことに注意が必要です。
「偽計」とは、簡単に言えば人を欺く、だますことです。
偽計業務妨害罪の詳しい解説⇒
「いたずら?嫌がらせ?ウソの注文は犯罪になる!?」