当社では、新たに採用した社員に対し「身元保証書」を提出してもらっています。
民法改正により、この身元保証書の内容について検討が必要だと聞きました。
改正内容はどのようなもので、身元保証書の内容はどのようにしたらよいのでしょうか?
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
2017(平成29)年5月に「民法の一部を改正する法律」が成立し、2020(令和2)年4月1日施行となります。
これに伴い、人事労務関連では「身元保証」への影響を考える必要があります。
多くの企業が、就業規則に「採用決定時の提出書類」として「身元保証書」を規定しています。
具体的には次のような内容になっていると思います。
1.「身元保証人は、会社が認める者1名(あるいは2名)とし、原則として親権者または親族人とする。」
2.「身元保証の期間は5年間とする。また、会社が必要だと認めた場合は、この保証期間を更新する場合がある。」
3.「社員がこの規則等を遵守せず、会社に損害を与えたと認められる場合、身元保証人に損害を賠償させることができる。」
今回の民法改正に伴い、影響があるのは上記3となります。
もし、社員の企業秩序違反行為により企業が損害を被った場合、損害額の全部または一部を本人に請求し、本人の支払い能力が不足していれば身元保証人が連帯して賠償の責めを負うことが通常です。
企業が損害額の全額の支払いを求めたとしても、訴訟等でそのまま認められるケースは滅多にないかと思いますが、請求額に上限はなかったのです。
これが2020年4月からは、賠償させるには上限額を定めなければならず、定めがない場合は契約が無効となってしまいます。
そうすると今後、企業の取るべき方法として考えられるのは次のとおりです。
1. 身元保証の制度そのものを廃止する。
2. 身元保証書に上限額を新たに追記する。
3. 身元保証書の賠償に関する部分のみ削除する。
1は一番簡単な方法かと思いますが、