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深夜業務の多い社員には健康診断を年2回実施する必要があるのか

ある社員から、「私は会社の業務の都合により深夜業務が増えているので、健康診断は年2回実施する必要があると思いますが」と言われました。

実際、この社員が言うように、年2回の健康診断を実施しなければならないのでしょうか。


【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘

労働安全衛生規則により、企業は社員に対して年1回の健康診断(定期健康診断)実施義務があることはよく知られているかと思います。

それ以外にも義務づけられている健康診断には、社員を雇い入れた時の健康診断や、「特定業務従事者」に対する健康診断があり、特定業務従事者については、「当該業務への配置替えの際および6か月以内ごとに1回」「定期的に」実施しなければならないとされています。

どのような業務が「特定業務」に該当するのかというと、坑内労働や「深夜業を含む業務」(午後10時から午前5時までの間の業務)等が挙げられています。

ただし、対象となる社員は特定業務に「常時従事」している者であるため、たまたま業務の都合により、ある月に2~3日深夜業務を行ったとしても常時従事しているとは判断されません。

では、常時従事しているとは、どのような状態を指すのでしょうか。

行政通達によれば、「深夜業を1週に1回以上または1か月に4回以上行う者」をいいます。

従って、ご質問の社員の方がこの通達の内容に当てはまるようであれば、年2回の健康診断の実施が必要となるでしょう。

これまでの業務で深夜の業務を行うことはほとんどなかったが、納期の逼迫やクレーム対応等により4回以上の深夜業務を行った月があったからと言って、年2回の健康診断が必要かと言えば、このケースでは深夜業務に常時従事しているとは見なされないでしょう。

一方、このような状況が数ヶ月続くようであれば、年2回の健康診断の実施が必要と解釈される可能性がありますし、連続しない場合であっても「6か月を平均して1か月あたり4回以上」であれば年2回の健康診断の実施は必要となります。

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