先日、ある社員が人事部に給与明細書をもってきてこのように言ったのです。
「有給を取得した分の賃金が今回の給与で支払われていません!」
月給制の社員なんだから出るわけがない、と説明しても納得いかないようです。
どう説明すれば良いでしょうか。
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
この方は月給制の社員ということなので、まずは月給制とはどのような制度をいうのか、という点から整理したいと思います。
【2つの月給制の違いとは?】
月給制には、一般的に「日給月給制」と「完全月給制」があり、いずれも1ヵ月単位で賃金の支払額を定めるものです。
この2つの制度の違いは次のとおりです。
日給月給制/遅刻や早退、欠勤があった場合に、その不就労分を月額賃金から控除して支給する制度
完全月給制/日給月給制とは逆に、遅刻や早退、欠勤があっても月額賃金から控除せず支給する制度
【年次有給休暇とは?】
次に、年次有給休暇とはどのような休暇をいうのか、について見てみましょう。
厚生労働省のホームぺージには、次のように記載されています。
「年次有給休暇とは、一定期間継続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりあらう生活を保障するために付与される休暇のことで、『有給』で休むことができる、すなわち取得しても賃金が減額されない休暇のこと」
(下線部分は筆者による)
一般的な企業であれば、平日が労働義務のある日(労働日)となります。
本来、労働義務のある日について労働が免除される訳ですから、ノーワークノーペイの原則からも、その日について賃金カットされても不思議ではありません。
しかし、年次有給休暇は「有給」であり、取得しても「賃金が減額されない」と労働基準法上認められた休暇制度であるため、賃金カットされることなく満額支給されるのです。
このように、