セクハラやマタハラについては法令による義務が事業主や労働者に課せられています。
しかし近年急増している、いじめや嫌がらせ等のいわゆる「パワハラ」を規制する法令がないのはなぜでしょうか?
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
セクシュアルハラスメント(セクハラ)は男女雇用機会均等法、マタニティハラスメント(マタハラ)は男女雇用機会均等法及び育児介護休業法でその定義や事業主が講ずるべき措置等が明記されています。
それに対して、パワーハラスメント(パワハラ)に関する規制が現時点でないことは確かです。
そのため、厚生労働省においてもパワハラの予防や解決について、「あかるい職場応援団」等のサイトや「パワーハラスメント対策導入マニュアル」を作成してはいるものの、周知や啓発レベルにとどまっています。
しかし、職場のパワハラに関する行政への相談件数は年々増加しており、平成24年3月にはその定義や類「型(6つ)につ」いて次のようにまとめられました。
パワハラの定義
同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為。
パワハラの類型
・身体的な攻撃
・精神的な攻撃
・人間関係からの切り離し
・過大な要求
・過小な要求
・個の侵害
その後、平成27年末に電通の新入社員が過労自殺した、いわゆる「電通事件」は世間に大きな衝撃を与えました。
また、パワハラ相談も増加するばかりで、精神障害の労災認定もそれに比例して増えています。
そのため、