青色申告にはメリットがあるという話を聞きますが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
【この記事の監修者】 讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
まずは青色申告を検討しましょう
青色申告はメリットがある、というイメージが根づいています。
青色申告会でも、税制面でいかに優遇されているかを前面にアピールしています。
ある程度の規模の会社で、総務・経理担当者など専門の部署がないのであれば、時間と知識の制約により帳簿作成は簡単ではありません。
しかし、青色申告の適用を受けるためには会計ソフトへ入力して、複式簿記による帳簿作成は避けて通れません。
そのため、帳簿作成の労力と青色申告のメリットを天秤にかけて、ジレンマに陥っている法人の経営者・個人事業主は多いのではないのでしょうか。
それでも、事業展開を優位に進めたければ、たとえ会計事務所に丸投げしてでも青色申告をしたほうが顧問料に見合うメリットが享受できます。
税制上の特典が青色申告の魅力
青色申告のメリットは税制上の特典を抜きに語れません。
主に次の項目があげられます。
1.個人事業主と法人に共通するメリット
①パソコン代などの固定資産が30万円未満なら原則は全額経費に落とすことができます。
②今年度が黒字で、過年度に累積赤字がある場合には相殺できます。
それによって所得金額が圧縮されます。
③高額の設備・ソフトウェアを購入した場合には、特別償却により前倒しで経費に落とせます。
④雇用促進税制で税額控除ができます。
2.個人事業主特有のメリット
①青色申告特別控除により、お金を1円も負担しなくても所得控除ができます。
複式簿記で記帳していれば65万円、簡易帳簿なら10万円です。
②家族に支払う給与を経費に落とすことができます。
白色申告の場合は原則、配偶者86万円、その他の親族は50万円です。
③貸倒引当金の設定が認められています。
具体的には、売掛金などの債権合計額の5.5%を経費に落とすことができます。
ただし、事業所得のみが適用できる制度なので注意が必要です。
税制上の特典を受けるうえでの注意点
1.30万円未満の固定資産や特別償却の対象となる設備・ソフトウェア代の基準となる金額が消費税の経理処理で異なります。
税抜経理なら税抜価格、税込経理なら税込価格で判断します。
換言すれば、固定資産の金額を表示する価格、つまり消費税を抜く・抜かないかの違いです。
通常、固定資産が30万円未満かどうかを判断するときは税抜価格のほうが有利になりますが、イレギュラーなケースでは税込経理のほうが有利な場合があります。
また、ソフトウェアの特別償却の適用ラインである70万円以上ですが、税抜価格では到達しないので、その年度は税込価格で表示して優遇税制の適用を受けることもできます。
2.個人事業主が青色申告特別控除で65万円の所得控除を受けるためには、申告期限の3月15日までに提出しないといけません。
ある会計事務所は、顧問先である個人事業主の確定申告に一生懸命になるあまり、税理士本人の確定申告が申告期限までに間に合わず、65万円を所得控除できるはずの青色申告特別控除が10万円しか認められなかあったという笑えない話もあります。
青色申告で資金調達を優位に!
ところで、個人事業主の場合はさらにメリットがあります。
それは、