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事業承継・引継ぎ補助金について

わが国の企業の内、99%以上が中小企業であり、全従業員の約70%は中小企業で働いています。(注1)

中小企業は、その地域雇用の受け皿としての機能を持ち、地域経済の活動の中核となっているといえます。

しかしながら、中小企業の置かれた環境は厳しく、事業承継においてもスムーズにいかないのが現状です。

この記事では、令和2年度第三回補正予算にて新たに設けられた「事業承継・引継ぎ補助金」について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

事業承継・引継ぎ補助金とは?

中小企業の後継者不足は深刻で、経済産業省によると、令和5年までに70歳を超える中小企業の経営者は約245万人。

そのうち、半数の127万人については後継者未定の状態とのことです。(注2)

これらの状況、そしてさらにコロナの影響を勘案し、政府は中小企業の円滑な事業承継・引き継ぎの実現を図るために「事業承継・引継ぎ補助金」を設けました。

総予算は56.6億円であり、令和元年の事業承継補助金や令和2年の経営資源引き継ぎ補助金がベースとなっています。

この補助金の特徴として、次の2点があります。

・後継者教育の型を提示するための「承継トライアル実証事業」を実施する
・全国47都道府県に事業引き継ぎ支援センターを整備する

この補助金は次のような費用を対象として、その費用の一部を補助します。

補助金の対象は上記①の創業支援、経営者交代型、M&A型と上記②の専門家活用型に分かれます。

そして、①では事業承継・引き継ぎを契機とする「業態転換」、「多角化」などの取組費用や廃業に係る費用を、②については、事業引き継ぎ時の士業専門家の活用費用が補助の対象となります。

出典:経済産業省 令和2年度第3次補正予算の事業概要(P21より)

特徴1 承継トライアル実証事業とは?

この補助金の特徴として挙げた、承継トライアル実証事業について詳細を見てみましょう。

承継トライアル実証事業とは、補助事業者を介して、事業継承を考える中小企業と後継者候補とをマッチングさせ、専門のアドバイスを受けながら後継候補者への教育を実施するものです。

中小企業の後継者を選定するには後継者教育が必要です。

しかし、現状では後継者教育の機会を得る企業は少なく、後継者育成のノウハウが蓄積されないことが、事業承継の阻害要因になっています。

この阻害要因を取り除くために設けられたのが、承継トライアル実証事業です。

まず、承継トライアル実証事業によって選定された事業者(以下、補助事業者)が選定されます。

次に、補助事業者がその中小企業の事業承継に必要となる「手順」、「課題」、「対応策」などを明らかにします。

ここで、円滑な承継のための後継者教育の「型」の分析を行うわけです。

そして、補助事業者は、中小企業と外部の後継者候補とマッチングを行い、雇用後の後継者育成までを支援します。

このように、補助事業者を介在させ、「後継者教育」を目標とした事業承継を視野に入れることで、事業承継の選択肢を広げていこうというものです。

【承継トライアル実証事業イメージ】

【特徴2 事業引き継ぎ支援センターとは?】

補助金のもう一つの特徴である「事業引き継ぎ支援センター」の役割を説明しましょう。

事業引き継ぎセンターとは、各都道府県に設置された事業承継について相談から成約まで中小企業をバックアップする組織で、具体的な活動内容は次のとおりです。(注3)

・事業承継、引継ぎ(親族内・第三者)に関する相談
・事業承継診断による事業承継・引継ぎに向けた課題の抽出
・事業承継を進めるための事業承継計画の策定
・事業引継ぎにおける譲受/譲渡企業を見つけるためのマッチング支援
・経営者保証解除に向けた専門家支援 など

事業承継を行いたい経営者は、まず最寄りのセンターに相談し、面談やヒアリングのうえ、事業引継ぎデータベースに登録します。そして、中小企業診断士や金融機関OB、税理士などの専門家による事業承継に係る助言、情報提供及びマッチング支援を受けます。

従来、9割以上の中小企業が親族に事業を引き継いでいました。

しかし、今やその割合は4割以下に低下しています。(注4)

当たり前とされていた「親族が家業を継ぐ」という考え方が成り立たない時代になりつつあるのです。

そこで、商工会議所等と連携し、その地域において起業を希望する人材とのマッチングは双方にとってメリットがあります。

まずは相談できる「事業引き継ぎ支援センター」が、事業承継の悩みを解決すべく、中小企業のアドバイザーとして機能します。

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