短期前払費用を活用した場合、税務調査で争点となり、問題になりやすいと聞きましたが、具体的にはどういう場合が考えられるでしょうか?
前回は、年払いの保険料などを一括で経費に落とすことができる「短期前払費用」の仕組みや条件などについて説明しました。
そこで今回は、短期前払費用が否認された事例などから、短期前払費用を活用する際の注意点などについて説明します。
【短期前払費用が否認された事例】
まず、税務調査で争点になるのは、前回、「短期前払費用を一括で経費に落とすための6つの条件」で説明した中の、「重要性の原則」と「等質・等量のサービスの対価」についてです。
①重要性の原則から外れていないか?
節税額が著しく大きくなる場合は問題となります。
ケースバイケースですが、節税額が著しく大きい目安として、販管費の5%分の短期前払費用が否認された判例があります。
裁判の争点になったということは、税務署が否認してきた証拠です。
②等質・等量のサービスの対価か?
地代家賃や保険料などのように、年数が経過しても確実にサービスの質・量が同じであることが求められます。
基本通達には書いてありませんが、「等質・等量」は実務上では大切な概念です。
実際にコンサルティング料を年払いして、一括で経費に落としたケースが否認された判例があります。
その根拠となったのは、サービス内容が一定とは限らないからです。
コンサルティングの特性上、会社の状況によってアドバイスする内容は変わるため、等質でないことは明らかです。
また、コンサルティング契約は地代家賃や保険料のように継続が大前提ではありません。
社会通念上、契約の打ち切りが当然のようにありえるため、等量ではないのです。
このように短期前払費用は気軽に節税できる優遇税制ではありません。あくまでも例外規定なのです。
また、上記の事例から、むしろ短期前払費用は税法の考え方を示しているといえます。
具体的には次の3点です。