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国税庁の令和3事務年度の調査実績および法人調査の重点項目

税務調査は、売上や利益が大きい企業ほど受けやすい傾向にありますが、国税当局が掲げている調査の重点項目に該当している場合も調査対象になりやすいです。

本記事では、国税庁が公表している資料を基に、法人に対する税務調査の実施状況と、調査の傾向について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

法人税・消費税の調査対象になる確率は3.3%

国税庁が公表している「令和3事務年度 法人税等の調査事績の概要」によると、令和3事務年度に行われた法人税・消費税の実地調査は4万1千件です。

実地調査とは調査担当者が自宅や事務所を訪れて行う調査をいい、1件当たりの追徴税額は570万1千円です。

書面や電話等で申告誤りを指摘する、簡易な接触による調査件数は6万7千件ですので、実地調査と合わせると国税当局は年間で10万8千件の申告について、何かしらの調査を実施していることになります。

また令和3事務年度の法人税・消費税の接触率は3.3%、過去5年間(平成29年から令和3年)での接触率は18.5%となっていますので、5社のうち1社は5年の間に税務署から接触を受けている計算です。

税務調査で不正の指摘割合が高い業種

国税当局は人員的な観点から、すべての法人を調査することは不可能なので、優先順位を付けて調査を実施しています。

調査担当者は増差税額の成果が求められているため、不正が見込まれない法人を調査する可能性は低く、不正発見割合の高い業種や、不正所得金額が大きい業種は調査対象となりやすいです。

令和3事務年度の不正発見割合が高い業種、不正1件当たりの不正所得金額の大きな業種は次の通りです。

<不正発見割合の高い 10 業種(法人税)>
(順位) 1
(業種目) その他の道路貨物運送
(不正発見割合) 32.8%

(順位) 2
(業種目) 医療保健
(不正発見割合) 31.2%

(順位) 3
(業種目) 職別土木建築工事
(不正発見割合) 29.6%

(順位) 4
(業種目) 土木工事
(不正発見割合) 28.7%

(順位) 5
(業種目) その他の飲食
(不正発見割合) 28.4%

(順位) 6
(業種目) 化粧品小売
(不正発見割合) 28.0%

(順位) 6
(業種目) 美容
(不正発見割合) 28.0%

(順位) 8
(業種目) 機械修理
(不正発見割合) 27.9%

(順位) 9
(業種目) 一般土木建築工事
(不正発見割合) 27.3%

(順位) 10
(業種目) 貨物自動車運送
(不正発見割合) 27.3%

<不正1件当たりの不正所得金額の大きな10業種(法人税)>
(順位) 1
(業種目) 情報サービス、興信所
(不正発見割合) 72,887千円

(順位) 2
(業種目) 自動車 ・ 同部品卸売
(不正発見割合) 64,723千円

(順位) 3
(業種目) 鉄鋼製造
(不正発見割合) 63,696千円

(順位) 4
(業種目) 運輸附帯サービス
(不正発見割合) 55,379千円

(順位) 5
(業種目) その他のサービス
(不正発見割合) 52,957千円

(順位) 6
(業種目) 建売 、土地売買
(不正発見割合) 50,098千円

(順位) 7
(業種目) その他の金属製品製造
(不正発見割合) 42,744千円

(順位) 8
(業種目) 化粧品小売
(不正発見割合) 35,521千円

(順位) 9
(業種目) その他の不動産
(不正発見割合) 34,613千円

(順位) 10
(業種目) 印刷
(不正発見割合) 34,396千円

参考:令和3事務年度 法人税等の調査事績の概要(国税庁)

医療保険や美容、土木関連の業種は、前事務年度も不正発見割合が高い業種としてランクインしていました。

不正1件当たりの不正所得金額の大きな業種には、不動産関連の業種がいくつかランクインしている一方、1位の「情報サービス、興信所」の72,887千円は、ここ数年の中でも特に高額の不正所得金額です。

国税当局が法人調査で特に力を入れているポイント

国税当局が法人調査で特に力を入れているケースは、次の3つです。

法人税・消費税の無申告

法人税や消費税などは申告納税制度を採用しており、納税者が自主的に申告・納税を行っています。

法人税等の申告をしないのは申告納税制度を否定する行為ですので、国税当局は徹底的に摘発しています。

単純な申告忘れの場合に課される加算税は無申告加算税(15%)ですが、仮装隠蔽行為により申告を行わなかった場合は、重加算税(40%)の対象です。

また、高額な脱税など悪質な事案においては、調査を担当するのが税務署職員ではなく、マルサ(国税局査察部)になる可能性もあります。

一般的な税務調査は納税者の同意の下で行われますが、マルサの調査は納税者の同意なく実施できる強制調査です。

ある日突然複数人の調査担当者が自宅等に訪れ、ガサ入れが行われるかもしれませんし、脱税額によっては逮捕されるリスクもありますので、申告手続きは必ず行ってください。

海外取引の申告漏れ

法人税の申告は、海外取引に関連する売上等も含めて計算することになりますが、意図的に海外取引の申告を除外し、売上の過少申告を行っているケースがあります。

最近では、海外取引所で行った暗号資産取引の売却益を除外した事例もありましたので、国税当局は海外取引の申告漏れの対応を強化しています。

海外取引に関する情報は、他国との情報交換要請はもちろんのこと、現地の登記情報等を直接調べるなどして把握しています。

意図的な申告除外は重加算税の対象となるため、海外取引についても漏れがないように注意してください。

また海外取引関連では、源泉徴収漏れが指摘されているケースもあります。

国外送金等調書などを基に、非居住者や外国法人に支払われる国内源泉所得の実態解明を行っていますので、こちらも手続き漏れには要注意です。

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