契約書のひな形、内容証明郵便書式、労務書式、
会社法議事録・通知書のテンプレートが無料

節税の必須対策!役員退職金を損金計上するための要件と金額基準

役員の退職金は従業員の退職金とは異なり、一定の要件を満たさなければ損金計上できません。

また退職金は給与よりも金額が大きいため、損金の計上時期を踏まえた上で支給することも重要になってきます。

本記事では役員退職金を損金計上するための要件および、注意点について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

役員退職金を損金計上する方法

役員退職金(役員退職給与)を損金計上するのであれば、支給方法や支給金額を考慮しなければいけませんし、計上できるタイミングも決まっています。

株主総会の決議を経ないと損金計上できない

役員退職金を損金計上できるのは、定款の定めにより支給した退職金または、株主総会の決議により決定した退職金です。

一般的に退職金規定を定款に定めているケースは少なく、多くの会社では株主総会により退職金の支給額を決定します。

株主総会では退職金の支給金額や支給時期、支払方法などを決める必要があり、株主総会を経ないで支給された役員退職金は損金不算入となります。

同族会社であっても株主総会を行う必要がありますので、開催した証拠として議事録は必ず残すようにしてください。

役員退職金の損金計上時期

役員退職金を損金計上できる時期は、株主総会の決議等によって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度が原則です。

支給する退職金の額が具体的に確定する事業年度より前の事業年度において、取締役会で内定した金額を損金経理により未払計上した場合であっても、未払金に計上した事業年度の損金の額に算入することはできません。

一方で、会社が退職金を実際に支払った事業年度に損金経理をした場合は、その支払った事業年度において損金の額に算入することは認められます。

また法人が退職年金制度を実施している場合に支給する退職年金は、その年金を支給すべき事業年度が損金算入時期です。

退職した時に年金の総額を計算し、未払金に計上しても損金の額に算入させることができませんのでご注意ください。

過大な退職金は損金不算入

株主総会で決定した役員退職金であっても、全額を損金として計上できるわけではありません。

同族会社の場合、実質的に退職金の額を自由に決めることができるため、無条件で損金計上を認めてしまうと、過度な節税手段として役員退職金が用いられることも想定されます。

そのため法人税法第34条では、退職した役員に支給する退職金のうち、不当に高額な部分の金額については損金不算入とする規定があり、役員退職金の支給金額は税務調査で争点となるポイントです。

役員退職金が適正金額であることを判断する基準

役員退職金が過大と判断されれば損金不算入となりますので、客観的にも支給金額が適正であることを示す必要があります。

同業他社よりも退職金が高すぎないこと

不当に高額とみなされないためには、役員に支給する退職金が適正金額である根拠を示す必要があります。

役員退職金の基準となる要素は4つです。

● 役員としての勤務年数
● 同業他社が支払っている退職金との比較
● 会社への貢献度
● 退職後の役員の処遇

● 役員としての勤務年数
● 同業他社が支払っている退職金との比較
● 会社への貢献度
● 退職後の役員の処遇

従業員の退職金は勤務年数に応じて増加するのと同様、役員に対する退職金も勤務年数を加味します。

同業他社の役員退職金の支給額は、不当に高額な金額を判断する基準の指標として重視される傾向にあり、会社運営を行う立場にある役員は、会社への貢献度も退職金の額に影響します。

また退職金を受け取った役員が、引き続き会社の経営陣に入っている場合、支給した役員退職金の損金計上は認められません。

ただし役員の分掌変更のタイミングで退職金を支給したとしても、役員の地位や職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められる場合には損金計上が認められます。

功績倍率法により役員退職金を計算する方法

役員退職金の額を計算する方法の一つに、「功績倍率法」があります。

功績倍率法は、役員の給与や在任期間などから退職金を算出する方法です。

<功績倍率法>
最終報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率 = 役員退職金

<功績倍率法>
最終報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率 = 役員退職金

役員の最終報酬月額は、急激な報酬額の変動があった場合を除き、在任期間における法人に対する貢献の程度を反映している金額です。

勤続年数は、会社に貢献するために費やした時間と労力を示す指標です。

役員の中でも立場によって経営に対する責任や貢献度が異なるため、役位に応じて功績倍率を変え、役員退職金の額に差をつけます。

役員退職金の算出方法を決めておくと、税務調査を受けた際に根拠を示すことができますので、算出方法を規定しておくことも調査対策になります。

経営に役立つ無料セミナー・無料資料請求
PREVNEXT