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消費税の申告において簡易課税制度を利用するメリット・デメリット

基準期間における課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の課税事業者として申告・納税義務が生じます。

簡易課税制度は、消費税の申告書を作成する時間も削減するだけでなく、税負担の軽減も期待できる制度です。

本記事では、消費税の簡易課税制度のメリット・デメリットについて解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

消費税の簡易課税制度のしくみと適用可能な事業者

簡易課税制度は、課税売上高に係る消費税額から仕入税額控除を算出することができる制度です。

簡易課税制度は選択制なので、適用するためには管轄税務署へ「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。

中小事業者の納税事務負担に配慮する観点から創設された経緯もあり、基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が5,000万円を超えてしまうと、簡易課税制度は適用できません(高額特定資産の仕入れ等を行った場合など一定の場合にも簡易課税制度は適用できません)

一般課税(本則課税)の場合、仕入れに係る消費税を計算することになりますが、簡易課税制度はその計算をする必要がないため、課税売上に対する消費税を把握するだけで消費税の納税額を算出できます。

<簡易課税制度の仕入税額控除の計算式>
課税売上等に係る消費税額×みなし仕入率=仕入税額控除

<簡易課税制度の仕入税額控除の計算式>
課税売上等に係る消費税額×みなし仕入率=仕入税額控除

消費税の簡易課税制度のメリット

簡易課税制度のメリットは事務負担の軽減だけでなく、条件を満たせば節税効果も得られます。

消費税の申告事務の簡便化

消費税の課税事業者になれば所得税や法人税と同様、毎年の確定申告手続きが必要となりますので、免税事業者から課税事業者になった際は、消費税の申告手続き分だけ税金に関する事務量が増加します。

一般課税の場合、課税売上高に対する消費税から課税仕入れに対する消費税を差し引くことで納税額を算出しますが、仕入税額控除の適用するためには一定の要件があるため、消費税の課税対象となる売上・仕入れ金額を区分しなければなりません。

一方、簡易課税制度を利用した場合、課税標準額に対する消費税額にみなし仕入率を乗じて仕入税額控除を算出するため、計算が簡便化されます。

令和5年10月1日施行のインボイス制度以降は、インボイス(適格請求書)を保存しなければ仕入税額控除は適用できませんが、簡易課税制度を利用する際にインボイスの保存は不要なので、事務量を抑えることができます。

実際の仕入税額控除より控除額が多くなることもある

簡易課税制度で適用するみなし仕入れ率は、事業区分ごとに割合が決まっており、第1種事業(卸売業)に該当する場合には、90%をみなし仕入れ率として計算することが可能です。

この90%よりも課税仕入れが少ない事業者においては仕入税額控除の額は小さいため、簡易課税制度を適用することにより、実額の仕入税額控除以上に控除することもできます。

消費税の簡易課税制度のデメリット

消費税の簡易課税制度を適用することにより、消費税の納税額が増えるケースもあります。

消費税は必ず納税申告になる

消費税を一般課税で計算する場合、課税売上高よりも課税仕入額の方が多くなった際は確定申告をすることで消費税の還付を受けることができます。

しかし簡易課税制度は、課税売上に対する消費税にみなし仕入率を乗じて仕入税額控除を算出する計算上、このような場合でも消費税は必ず納税申告となります。

また簡易課税制度は事業を廃止した場合等を除き、2年間継続した後でなければ簡易課税制度をやめることはできません。

したがって事業の黒字・赤字に応じて、簡易課税制度を使い分けることできないのでご注意ください。

事業区分によってはみなし仕入率が低い

事業区分第1種事業に該当する卸売業のみなし仕入率は90%と高いですが、第6種事業に該当する不動産業のみなし仕入率は40%と、業種ごとにみなし仕入れ率は大きく異なります。

みなし仕入率の低い業種でも、仕入れに対する消費税が多くなることもあるため、簡易課税制度を適用することで、一般課税より消費税の納税額が増えることも想定されます。

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