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事業承継のために組織再編成を行うメリット・デメリット

後継者へスムーズに事業を引き継がせたい場合、事前に企業の組織を再編成するのも選択肢です。

組織再編の方法はいくつかありますが、それぞれにメリット・デメリットが存在しますので、今回は事業承継のために組織再編する場合のポイントをご紹介します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

事業承継するために組織再編するメリット

組織再編は企業の組織や形態を変更する行為をいい、組織再編成の方法は「合併」・「株式交換」・「株式移転」・「会社分割」の4種類があります。

経営者が複数の会社を運営している場合、一人の後継者にそのまま承継すると、同様に運営することが難しくなることや、組織として十分な機能を発揮できないことが想定されます。

組織再編は、企業としての機能を高めるだけでなく、後継者の負担を軽減する目的でも行われます。

たとえば組織再編により関連会社を事前に子会社化し、親会社の地位のみを承継すれば、複数の会社の経営を引き継ぐ必要がなくなります。

また、組織再編は企業を一つにまとめるイメージが強いですが、それだけではなく、一部の事業を切り離して別会社として設立するなど様々です。

経営者の子が複数人いる場合、会社を分割することで、それぞれに事業を引き継がせることも可能となるため、状況に応じた組織再編成を行うことで円滑に事業承継が行えるようになります。

合併による組織再編のメリット・デメリット

合併は、2つ以上の会社を1つの会社に統合することをいい、合併の種類には一方の会社が消滅し一方の会社を存続される「吸収合併」と、合併のタイミングで新たに会社を立ち上げる「新設合併」があります。

複数の会社を保有している場合には、会社を一つに集約することで効率化によるコスト削減や連携がより円滑にできるようになるのがメリットです。

事業承継においては合併することで経営が一本化されるため、後継者への負担を軽減できるだけでなく、引き継ぎがスムーズになります。

ただし、合併するための費用や、組織が大きくなることで経営コストは増えますし、赤字の会社を合併する場合には企業価値が下がる可能性がある点には注意が必要です。

株式交換による組織再編のメリット・デメリット

株式交換は親会社となる会社が相手会社の全株式を取得し、子会社化する方法です。

株主交換後も相手会社は子会社として存続するため、現在の状況を維持したまま親会社に支配権を渡すことができます。

事業承継を行う場合、後継者が親会社の経営者としての地位を引き継げば、必然的に子会社の経営権も握ることになりますので、後継者が複数の会社を承継する必要がなくなります。

一方で、相手会社の株主が親会社の株主となることから、株主構成が変動し、株主の力関係が変わることも考えられます。

特定の株主の保有株式割合が高くなれば、従来通りに株主総会を実施できなくなるなどのリスクも想定されますので、現在の株主構成次第では用いるのが難しい手段です。

株式移転による組織再編のメリット・デメリット

株式移転とは、新設した会社が既存の会社の株式を取得し、子会社化する方法です。

ホールディングス化する際に用いられることが多く、新設した会社の後継者となれば、子会社化した会社の経営権を握ることができます。

デメリットとしては、会社を新設する関係上、経費が増加する可能性は高いため、経営の効率化や事業改善を前提に組織再編をしなければなりません。

会社分割による組織再編のメリット・デメリット

会社分割とは、会社内部にある事業を切り離し、その事業を独立または別会社に引き継がせる方法です。

事業単位で組織再編を行うことができますし、複数の後継者がいる場合には、切り離した事業をそのまま独立させる「新設分割」を用いることで、会社ごとに後継者を指名することも可能です。

事業の一部を他の会社に移転させる「吸収分割」を行う場合、移転する事業の組織が大幅に変化しますので、新たに経営陣との対立など、トラブルが発生することが懸念されます。

また、新設分割については税務上の取り扱いが難しく、環境の変化による人材流出のリスクもあります。

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