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人格のない社団等が遺贈を受けた際の相続税の取扱い

相続税は個人に対して課される税金であるため、法人が遺贈により相続財産を取得した際は相続税ではなく、法人税の課税対象となります。

しかし、人格のない社団等が遺贈を受けた場合には、例外的に相続税の課税対象となりますので、今回は人格のない社団等に対する相続税の取り扱いについて解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

人格のない社団等に対する相続税のみなし規定

相続税の納税義務者は、相続税法第1条の3において個人と定められており、法人が遺贈により相続財産を取得したとしても基本的に相続税はかかりません。

しかし、代表者または管理者の定めのある人格のない社団または財団(人格のない社団等)に対して財産の遺贈が行われたときは、人格のない社団等は個人とみなされ、相続税の課税対象となります。

人格のない社団や人格のない財団に該当するものとしては、PTAや町内会、マンションの管理組合などがあります。

<人格のない社団等の範囲>

人格のない社団
多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないもので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有し統一された意思の下に、その構成員の個性を超越して活動を行うもの

人格のない財団
一定の目的を達成するために出捐された財産の集合体のうち法人格を有しないもので、特定の個人または法人の所有に属さないで一定の組織による統一された意思の下にその出捐者の意図を実現するために独立して活動を行うもの

人格のない社団等についての代表者または管理人の定め
人格のない社団または財団の定款、寄附行為、規約等によって代表者または管理人が定められている場合のほか、当該社団または財団の業務に係る契約を締結し、その金銭、物品等を管理するなどの業務を主宰する者が事実上いること

みなし規定が存在する理由としては、被相続人が人格のない社団等に遺贈することで相続税を回避できてしまうためです。

人格のない社団等に対する課税は相続税法第66条で定められていますので、人格のない社団等へ遺贈する際は注意が必要です。

人格のない社団等に対する相続税の取扱い

人格のない社団等が個人とみなされた場合、相続税の計算においても個人が相続財産を取得した場合と同様の扱いを受けます。

納税義務者の区分

人格のない社団等が納税義務者に該当する場合、人格のない社団等の住所が法施行地内にあるときは無制限納税義務者、法施行地以外にあるときは制限納税義務者となります。

無制限納税義務者は、相続・遺贈により取得した財産の所在地にかかわらず、財産を取得した際は相続税の課税対象です。

制限納税義務者は、相続・遺贈により取得した財産のうち、法施行地にあるものに対してのみが相続税の課税対象となることから、法施行地外の資産のみを遺贈により取得した場合には、日本の相続税は課されません。

法人税額の控除

人格のない社団等が相続財産を取得したことで、相続税を納めることになった場合、法人税等に相当する額を相続税から控除できます。

法人が相続財産を取得した際には法人税等の課税対象になることから、相続税と法人税等が重複するときは、法人税等を差し引くことで二重課税を解消します。

相続税の2割加算の取扱い

相続・遺贈により財産を取得した者が被相続人の一親等の血族または配偶者以外のものである場合、算出された相続税額の2割が加算される「2割加算」の対象となります。

人格のない社団等は2割加算の適用対象外となる親族等には該当しませんので、算出された税額に2割上乗せした額を相続税として納めなければなりません。

持分の定めのない法人に対する相続税の取扱い

持分の定めのない法人に対して遺贈が行われた際、その遺贈により遺贈をした者の親族などと、相続税第64第1項に規定する特別関係者の相続税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合には、その法人を個人とみなして相続税が課されます。

同法第66条第4項の「持分の定めのない法人」は、次に掲げる法人などをいいます。

「相続税または贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるとき」は、原則として、贈与等を受けた法人が相続税法施行令第33条3項各号に掲げる要件を満たしているかで判断します。

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