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減価償却費の取扱いは法人と個人事業主で異なる

法人と個人事業主は、課される税金の種類だけでなく、売上や経費の取扱いにも違いがあります。

事業用の固定資産を取得した場合、減価償却費として一定期間経費にできますが、計算方法は法人と個人事業主で異なる部分があります。

本記事では、法人と個人事業主の減価償却の計算方法と、取扱い上の注意点について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

減価償却費の計算の概要

減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時の必要経費にするのではなく、資産の使用可能期間の年数に応じて分割して計上します。

使用可能期間については、財務省令の別表に定められている法定耐用年数で確認することになり、減価償却の計算方法は基本的には「定額法」と「定率法」の2種類です。

定額法は、償却費の額が原則として毎年同額となる方法をいい、減価償却費の計算が容易であることが特徴です。

定率法は、償却費の額が当初の年ほど多く、年とともに減少するのが特徴の計算方法です。

減価償却資産は、取得したタイミングで全額を必要経費に計上できないデメリットがある一方、定率法で計算すれば資産を取得した当初に多くの額を減価償却費として計上することができます。

個人事業主の減価償却費の取扱い

個人事業主が減価償却費の計算を行う場合、原則は定額法により金額を算出することになります。

定率法を選ぶことも可能ですが、償却方法を選定するときは翌年の3月15日までに、所轄の税務署へ「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」の提出が必要です。

使用可能期間が1年未満のものや、取得価額が10万円未満のものについては、全額を業務用に供した年分の必要経費に計上することができます。

取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一定の条件を満たせば一括償却資産として、3年間の各年分において均等償却することが認められています。

また、個人事業主が青色申告をしている場合、「少額減価償却資産の特例」を適用することが可能です。

少額減価償却資産の特例は、取得価額が30万円未満の減価償却資産を購入した際、合計額 300万円を限度として、全額を経費計上できる制度です。

平成18年4月1日から令和6年3月31日までに取得した減価償却資産が対象ですが、要件を満たせば取得費をそのまま経費にできます。

法人の減価償却費の取扱い

法人税においては、償却方法を平成19年3月31日以前に取得したものと、平成19年4月1日以後に取得したもので分けて評価方法を定めています。

法人を設立した際の償却方法は、設立日の属する事業年度の確定申告書の提出期限までに、選定した償却方法を定めた届出書を税務署に対して提出することになります。

既に償却方法を選定した減価償却資産と異なる減価償却資産を取得した場合には、取得日の属する事業年度の確定申告期限までに「減価償却資産の償却方法の届出書」の提出が必要です。

平成19年3月31日以前に取得した資産と同一の区分に属する資産があり、「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出していないときは、平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産に対して選定した償却方法の区分により、選定したとみなされます。

「減価償却資産の償却方法の届出書」の提出をしていないケースで、「償却方法のみなし選定」に該当しない平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産の償却方法は、法定償却方法により計算を行います。

平成28年度の税制改正により、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備および構築物ならびに鉱業用の建物、建物附属設備および構築物については、定率法を償却方法として選定できなくなりました。

<法人の主な法定償却方法>
(資産の区分)
建物
(法定償却方法(平成28年4月1日以後に取得))
定額法

(資産の区分)
建物附属設備および建築物
(法定償却方法(平成28年4月1日以後に取得))
定額法

(資産の区分)
有形減価償却資産
(法定償却方法(平成28年4月1日以後に取得))
定率法

(資産の区分)
無形減価償却資産
(法定償却方法(平成28年4月1日以後に取得))
定額法

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