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固定資産の資本的支出と修繕費の違いと判定基準を解説

法人が固定資産の修理や改良等を行った場合、支出した費用は「資本的支出」または「修繕費」に区分されます。

資本的支出と修繕費では税務上の取扱いが異なるため、本記事で資本的支出と修繕費に該当するケースと、判定基準について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

資本的支出の取扱い

資本的支出は、固定資産の使用可能期間の延長または、価値を増加させるなどの積極的な支出をいいます。

資本的支出に該当する支出としては次のようなものがあり、減価償却資産については固定資産を新たに取得したものとして取り扱います。

<資本的支出の該当例>

①建物の避難階段の取付け等物理的に付加した部分に係る費用
②用途変更のための模様替え改造または改装に直接要した費用
③機械の部分品を特に品質または性能の高いものに取り替えた場合において、その取替えに要した費用のうち、通常の取替えに要すると認められる費用の額を超える部分

※建物の増築や構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たります。

減価償却資産に対して資本的支出を行った場合、資本的支出を行った時期や対象の固定資産を取得した時期によって償却方法が異なります。

資本的支出を平成19年4月1日以後に行った場合、原則はその資本的支出を行った減価償却資産と、種類および耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとし、その資本的支出を取得価額として減価償却を行います。

資本的支出を行った減価償却資産が平成19年3月31日以前に取得したものであるときは、特例として資本的支出を行った減価償却資産の取得価額に、その資本的支出を加算して減価償却を行うことができます。

また、定率法を採用している減価償却資産に資本的支出を行った場合や、同一年中に複数回の資本的支出を行ったときは、それぞれ個別の計算による減価償却が可能です。

修繕費の取扱い

修繕費は、固定資産の修理や改良等のうち、通常の維持管理や原状回復などの目的で行った消極的な支出をいい、修繕費に該当するものは支出した事業年度の一時の損金となります。

車両の修理やメンテナンス費用、点検整備費だけでなく、き損した固定資産の原状回復費用も修繕費に該当します。

ただし、修理等であったとしても、資産価値を高めるものについては資本的支出として取り扱われるので注意が必要です。

少額・周期の短い費用の取扱い

資本的支出に該当する支出であっても、一の計画に基づき同一の固定資産について行う修理や改良等が次のいずれかに該当する場合、修理・改良等のために要した費用を修繕費として一時の損金にすることができます。

・その一の修理、改良等のために要した費用の額が20万円未満
・既往の実績その他の事情からみて、修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが明らかである

一の修理・改良等が2以上の事業年度にわたって行われるときは、各事業年度ごとに要した金額が20万円に満たなければ修繕費として計上することが可能です。

「同一の固定資産」とは、一の設備が2以上の資産によって構成されている場合、一の設備を構成する個々の資産をいいます。

ただし、送配管や送配電線、伝導装置等のように、一定規模でなければその機能を発揮できないものは、その最小規模として合理的に区分した区分ごととします。

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