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経営者が相続対策として検討すべき贈与税の配偶者控除の活用

円滑な事業承継のためには税金対策が不可欠ですが、事業財産を後継者に引き継ぐ場合、事業以外の財産の承継方法も工夫しなければなりません。

贈与税の配偶者控除は贈与税の節税効果だけでなく、相続税対策としても有効な制度ですので、今回は贈与税の配偶者控除の要件および、適用する際の注意点について解説します

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

贈与税の配偶者控除の概要

贈与税の配偶者控除は、夫婦間で贈与が行われた際に適用できる特例であり、婚姻期間20年以上の夫婦を対象にした制度であることから、「おしどり贈与特例」と呼称されることもあります。

特例の対象となる財産は、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭であり、同じ配偶者からの贈与に対して1度しか適用することができません。

配偶者控除の控除額は2,000万円と非常に高く、贈与税の基礎控除額110万円とは別で適用できるため、最大2,110万円までの贈与財産を無税で贈与することが可能です。

贈与税の配偶者控除が相続対策になる理由

おしどり贈与特例は贈与税の特例制度ですが、相続税対策として活用する選択肢もあります。

相続税に加算する贈与財産から外れる

相続税は相続発生時の財産に対して課される税金なので、被相続人が生前に贈与した財産は原則として相続税の対象から外れます。

しかし、相続・遺贈または相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人のうち、被相続人から加算対象期間に暦年課税に係る贈与によって取得した財産がある場合、その贈与財産は相続税の課税価格に加算しなければなりません。

加算対象期間に被相続人から贈与を受けていた場合、贈与税が発生しているか否かに関係なく、贈与財産の価額を相続税に加算することになります。

加算対象期間は、相続税の課税価格に加算される暦年課税に係る贈与の対象期間をいい、以前の加算対象期間は相続開始前3年以内でした。

しかし、税制改正により、令和6年1月1日以後の暦年課税に係る贈与により取得した財産の加算対象期間は、相続開始前7年以内に拡大しています。

そのため生前贈与を活用した相続税対策は難しくなっていますが、贈与税の配偶者控除を適用した部分の贈与財産は加算対象外となるため、配偶者控除を適用すれば相続税の課税対象財産を減らすことができます。

相続財産を生前に移せる

相続が発生した場合、被相続人が保有していた財産すべてが遺産分割の対象となりますが、相続財産が分割しやすい財産だけとは限りません。

自宅や同族会社の株式は相続する人によって価値が変わるため、相続する財産を巡って争いが生じやすいです。

被相続人の財産状況等によっては、配偶者が自宅を相続することが望ましいケースもありますが、生前中に自宅名義を配偶者へ変更するのも選択肢の一つです。

自宅を配偶者に贈与すれば相続財産ではなくなるため、相続時の揉め事を避けられますし、贈与税の配偶者控除を適用すれば、贈与税の負担を軽減またはゼロにできます。

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