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中小企業が利用できる法人税の特別償却・特別税額控除の種類

法人税には数多くの特例制度が存在しますが、適用対象者を中小企業に限定した制度も少なくありません。

ただ適用要件を満たしていた場合でも、制度の存在を知らなければ活用することができませんので、本記事で中小企業が利用できる特別償却・特別税額控除の種類をご紹介します

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

中小企業関連の令和6年度税制改正

最初に、令和6年度税制改正のうち、中小企業が影響する主な制度の改正点をご紹介します。

交際費課税の特例の改正点

交際費等から除外して損金算入できる飲食費の額は、1人1回あたり5,000円以下が基準となっていましたが、令和6年度税制改正で基準額が1万円以下に引き上げられました。

中小企業においては、年間800万円まで交際費等を全額損金算入できる特例措置を適用できますが、税制改正で適用期間が3年延長されています。

中小企業向け賃上げ促進税制の改正点

中小企業向け賃上げ促進税制は、賃上げや人材育成等を行った中小企業を対象にした制度で、要件を満たした中小企業は最大45%の税額控除を適用できます。また5年間の繰越控除制度が創設されました。

賃上げ促進税制は以前から存在する制度ですが、令和6年度税制改正において要件緩和や税額控除率の上乗せ措置だけでなく、新たに子育てとの両立支援、女性活躍支援に対する上乗せ控除が創設されました。

中小企業事業再編投資損失準備金制度の改正点

中小企業事業再編投資損失準備金制度は、経営力向上計画の認定を受けた中小企業がM&Aを実施した際、株式等の取得価額の一定割合までを準備金として積み立てた場合には、その積立金額を損金として算入できる制度です。

令和6年度税制改正では、認定からM&A実施までの期間を短縮できるよう認定プロセスが見直され、適用期間が3年延長になりました。

損金算入される積立率は従来70%でしたが、複数回M&Aを実施する際の積立率は2回目が90%、3回目以降は100%に拡充され、益金算入開始までの据置期間についても現行の5年間から10年間に長期化しております。

中小企業の少額減価償却資産の特例の延長

少額減価償却資産の特例は、取得価額が30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)であれば合計300万円を限度に、即時で全額を損金算入できる制度です。
本特例は時限立法ですが、税制改正で適用期限が2年延長になりました

なお、中小企業者等を対象にした本特例ですが、中小企業であったとしても、常時使用する従業員の数が500人を超える法人については適用することができません。

中小企業経営強化税制

中小企業経営強化税制は、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づいて対象設備の取得や製作等をした場合に適用できる制度です。

対象設備を取得等した際、即時償却または税額控除のいずれかを選択し、適用することができます。

税額控除の対象額は原則取得価額の10%ですが、資本金の額等が3,000万円超から1億円以下の法人が税額控除を適用する場合には、控除率が7%になります。

中小企業投資促進税制

中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)は、一定の機械装置等の対象設備の取得や製作等をした際に適用できる制度です。

要件を満たした企業は、対象設備の価額30%の特別償却または、7%の税額控除のいずれかを選択して適用することができます。

ただし、税額控除については、資本金の額等が3,000万円以下の法人または、個人事業主に限り適用が認められています。

地域未来投資促進税制

地域未来投資促進税制(地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)は、地域の成長発展の基盤強化に特に資するものとして、主務大臣による課税特例の確認を受け、計画に従って建物・機械等を新設・増設した際に適用できる制度です。

都道府県知事から「地域経済牽引事業計画」の承認を受ける等の要件を満たした場合には、対象設備の種類に応じて、法人税等の特別償却または税額控除を選択適用できます。

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