法人は個人よりも課される税金の種類が多く、法人成りをした際には、納める税金の種類が変わるものもあるので注意してください。
税金の種類によって担当の行政機関や納付期限は違いますので、今回は法人が関係する税金の種類と、支払時期について解説します。
【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
法人税
法人税は、利益に対して課される国税です。
申告納税方式を採用しているため、決算日から2か月以内に法人税の申告・納付手続きをしなければなりません。
法人税の申告・納付先は、法人の納税地を所轄する税務署です。
地方法人税
地方法人税は法人税と同様、法人が得た利益に対して課される税金です。
名称に「地方」と付いていますが国税であり、地方交付税の財源を確保するために創設されました。
地方法人税の確定申告書は、法人税の確定申告書と一つの様式になっており、申告・納付期限は法人税と同じです。
法人住民税
法人住民税は、事務所等を有する法人に対して課される地方税です。
資本金等の額や従業者数に応じて定額が課される「均等割」と、法人税額に応じて課される「法人税割」があり、納付期限は原則、事業年度終了日の翌日から2月以内です。
法人住民税は個人住民税と同様、道府県民税と市町村民税に分かれるため、都道府県と市町村が法人住民税を取り扱っています。
法人事業税
法人事業税は、法人が行う事業そのものに課される地方税で、法人の事務所等が所在する都道府県が課税します。
納付期限は原則事業年度終了日の翌日から2月以内で、資本金1億円以下の普通法人等に対しては、所得に応じた「所得割」により課税されます。
資本金1億円を超える普通法人に対しては「所得割」だけでなく、付加価値額に応じた「付加価値割」および、資本金等の額に応じた「資本割」による課税が行われます。
また、電気供給業やガス供給業、保険業を営む法人については、収入金額に応じた「収入割」による課税が行われます。
特別法人事業税
特別法人事業税は、令和元年10月1日以後に開始する事業年度から課される税金です。
地域間の財政力格差の拡大および経済社会構造の変化等を踏まえ、地方法人課税における税源の偏在を是正することを目的に、法人事業税の一部を分離して創設されました。
特別法人事業税は国税ですが、法人事業税と合わせて申告・納付手続きを行います。
なお、特別法人事業税が導入されたことで、令和元年9月30日までに開始する事業年度をもって地方法人特別税が廃止されています。
消費税
消費税は商品の販売やサービスの提供に対してかかる税金で、消費者が税を負担し、事業者が納付します。
消費税の申告・納付期限は、課税期間の終了日の翌日から2か月以内で、納税地を所轄する税務署に対して申告書の提出等を行います。
商品などの価格に上乗せされている消費税には地方消費税分も含まれていますが、消費税の申告をする際には、地方消費税分も納めることになります。
源泉所得税・源泉住民税
源泉所得税・源泉住民税は、源泉徴収の対象とされている所得の支払者が納める税金です。
源泉所得税は納税地を所轄する税務署、源泉住民税は従業員等が居住する各市区町村に納めることになります。
源泉徴収義務者は従業員等の給与から、源泉所得税および源泉住民税を天引きし、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに納めなければなりません。
事業所税
事業所税は、人口30万人以上の都市等が都市環境の整備および、改善に関する事業に要する費用に充てるための目的税です。
事業所税には事業所床面積に応じて課される「資産割」と、従業者給与総額に応じて課される「従業者割」があり、事業年度終了日から2か月以内に事業所を所管する自治体に対して申告・納付する必要があります。
固定資産税
固定資産税は、毎年1月1日現在で土地や建物、減価償却資産などの固定資産を所有している者に対して課される地方税です。
固定資産の所有者は、資産価値に応じて算定された税額を、固定資産の所在する市町村に納めなければなりません。
固定資産税の納税通知書は毎年4月から5月頃に送付され、年4回に分けて支払うことになります。
印紙税
印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や領収書などに課される国税で、税務署が取り扱っています。
課税対象となる文書は20種類あり、課税文書に課されるべき印紙税相当額の収入印紙を課税文書に貼付することで印紙税を納付します。