企業は色々な種類の税金を納めることになりますが、法人税・消費税・法人住民税・法人事業税については、申告手続きを行った上で税金を納付しなければなりません。
期限までに手続きを行わなければペナルティの対象となりますので、今回は経理担当者が知っておくべき申告・納期限について解説します。
【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
目次
法人が行う確定申告の種類
法人が申告すべき税金としては法人税が有名ですが、消費税および法人住民税、法人事業税についても確定申告手続きを要します。
確定申告は、年間(事業年度)に生じた所得金額を計算し、納めるべき税金を算出するための手続きをいい、申告納税方式が採用されている税金は納税者が自主的に申告・納税手続きをしなければなりません。
申告書の様式は税金の種類ごとに違いますし、担当する行政機関も異なるため、税務申告をする際は提出先等の誤りにも注意してください。
法人税
法人税は、企業が事業活動により生じた所得に課される税金で、確定申告において所得金額および納める法人税額を計算します。
法人税の確定申告
企業は事業年度の終了後に決算を行い、株主総会等の承認を受けてから、法人税法に定められた事項に従って法人税の申告書を作成します。
法人税の納税義務は、各事業年度の終了時に成立しますので、毎年申告手続きを行わなければなりません。
個人(所得税)の確定申告期間は、対象年分の翌年2月16日から3月15日と、納税者全員が同じタイミングで申告手続きを行います。
それに対し、法人税は企業ごとに事業年度が異なるため、申告時期は企業によって違います。
法人税の申告期限と納期限
法人税の確定申告書は、原則として各事業年度終了日の翌日から2か月以内に税務署へ提出します。
定款等の定めまたは特別の事情により、各事業年度終了日の翌日から2か月以内に事業年度の決算について、定時株主総会が招集されない常況にあると認められるときは、法人が申請することで、確定申告書の提出期限を1か月延長することができます。
法人税の納期限は、申告期限と同様、事業年度終了日の翌日から2月以内です。
ただし、申告期限の延長は申告書の提出期間が延びるだけで、納期限は延長されないので注意してください。
申告期限を延長したことに伴い、納税が遅くなったときは、納税が遅れた期間に応じた利子税を納めることになります。
消費税
消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して課される税金です。
消費者が消費税を負担していますが、消費税の申告手続きは事業者が行うことになります。
消費税の確定申告
消費税には、国税に区分される「消費税」と、地方税に該当する「地方消費税」があり、双方を合計した消費税率が商品等に課されています。
地方税は通常、地方自治体に申告および納税をすることになります。
しかし、消費税と地方消費税は納税義務者だけでなく、申告・納期限も同じであるため、消費税と地方消費税の申告手続きは税務署に対して行います。
消費税の申告期限と納期限
消費税の課税事業者は、課税期間ごとに課税期間の末日の翌日から2か月以内に、消費税の申告書を所轄税務署に提出することになります。
法人の課税期間と事業年度は、課税期間の特例を選択していなければ同じです。
たとえば、3月末決算の法人の場合、消費税の申告期限は5月末日です。
法人税の申告期限の延長の特例を適用している法人が、税務署に消費税申告期限延長届出書を提出した場合、消費税の確定申告期限を1か月延長することができます。
消費税の納期限は申告期限と同じですが、申告期限を延長したことで納付が遅くなったときは、本税に延長された期間に係る利子税を併せて納めなければなりません。
法人住民税・法人事業税
法人住民税・法人事業税はどちらも地方税ですが、税金の種類によって提出先が異なる場合があります。
法人住民税とは
法人住民税は、都道府県および市町村に事務所などを有する法人に課される税金で、都道府県民税と市町村民税をまとめたものを「法人住民税」と呼称しています。
個人が個人住民税を納めるように、法人も所在する地域に法人住民税を納めることになります。
法人住民税の申告は、都道府県民税は県税事務所等、市町村民税は市役所等に行いますが、東京23区のような例外もあるので注意してください。