事業者は、日々の取引の状況を帳簿に記録(記帳)しますが、帳簿の記載誤りや漏れがあると収入金額や必要経費を正確に計算できません。
経理担当者が作成することになる帳簿書類は数多くありますので、今回は帳簿書類の種類と作成する会計帳簿の役割について解説します。
【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
帳簿書類とは
帳簿書類は、「帳簿」と「書類」に分類されます。
帳簿は、事業者が事業を営む際に生じる取引やお金の流れを記録するものをいい、書類は決算関係書類(貸借対照表、損益計算書など)や現金預金取引等関係書類(領収証、預金通帳など)、取引に際して作成する契約書・領収書などをいいます。
帳簿の種類には、仕訳帳や総勘定元帳などが該当する「主要簿」と、現金出納帳や売掛金元帳などが該当する「補助簿」があり、仕訳帳と総勘定元帳については必ず作成しなければなりません。
帳簿書類の保存期間
帳簿書類の保存期間は、会社法だけでなく、法人税法でも定められています。
会社法では、会社法第432条(会計帳簿の作成及び保存)において、会計帳簿および事業に関する重要な資料を10年間保存することが義務付けられています。
法人税法においては、法人税法第150条の2(帳簿書類の備付け等)で、帳簿の備え付けだけでなく、帳簿と取引等に関して作成(受領)した書類の保存義務が規定されています。
法人税法上の保存期間は原則7年間ですが、青色申告の欠損金の繰越控除を適用する場合には、保存期間が10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となるので注意してください。
主要簿の種類とそれぞれの
役割
主要簿は、日々の取引をすべて記録する帳簿をいい、「仕訳帳」・「総勘定元帳」・「日記帳」の3種類があります。
仕訳帳
仕訳帳は、お金の流れを日付順に記録する帳簿をいいます。
お金の流れだけでなく、その日の取引の「日付」・「金額」・「内容」を把握するために作成します。
勘定科目を用いて日々の取引を「貸方」と「借方」に分けて仕訳しますが、貸方と借方の金額は仕訳ごとに必ず一致していなければなりません。
総勘定元帳
総勘定元帳は、すべての取引を勘定科目ごとに記録する帳簿をいいます。
仕訳帳はお金の流れを時系列で把握するために作成するのに対し、総勘定元帳は勘定科目ごとの取引日や残高などを把握する目的で作成します。
総勘定元帳は記録した仕訳帳から転記して作成することになりますが、会計システムで帳簿を管理しているときは、自動で総勘定元帳が作成されます。
日記帳
日記帳は、日々の取引を発生順に記録する帳簿で、仕訳帳を記帳する際のメモとしての役割を担っています。
主要簿のうち、日記帳については作成が義務付けられていませんが、日記帳を作成することで取引内容を整理できますので、帳簿を作成する際のミスを防止するツールとして用いられています。
補助簿の種類とそれぞれの
役割
補助簿は、主要簿を補助する役割がある帳簿です。
補助簿には「補助元帳」と「補助記入帳」があり、主要簿だけでは把握しにくい日々の取引内容を勘定科目ごとに記録します。
補助元帳
補助元帳は、特定の勘定科目の明細を記録するために用いる帳簿です。
勘定科目ごとに記録しているため、商品や取引先ごとに金額等の状況を把握することができるだけでなく、記帳ミスを防止する役割も担っています。
<種類>
商品有高帳
<内容>
商品ごとに受け入れ・払い出しなどの状況を記録する帳簿
<種類>
買掛金元帳(仕入先元帳)
<内容>
仕入先ごとに買掛金の状況を分類して記録する帳簿
<種類>
売掛金元帳(得意先元帳)
<内容>
得意先ごとに売掛金の状況を分類して記帳する帳簿
<種類>
固定資産台帳
<内容>
所有する固定資産ごとに取得から除却・処分までの状況を記録する帳簿