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紙の書類をスキャナ保存するメリットと適用要件を解説

法人税法などでは帳簿書類の保存が義務付けられていますが、一定の要件を満たせば、関係書類をスキャナで読み取り、電子データとして保存することができます。
また、電子帳簿保存法が大幅に改正されたことにより、原則事前申請なしでスキャナ保存を行えます。
本記事では、スキャナ保存を活用して書類を管理するメリットと、適用要件について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

スキャナ保存制度の概要

スキャナ保存は、紙の書類をスキャンし、電子データとして管理する制度です。
一定の要件を満たした場合、自己が作成した国税関係書類(決算関係書類を除く)や、取引相手から受け取った請求書等を書面ではなく、スキャナで読み取った「スキャン文書」で保存することが可能です。

一昔前まで、帳簿書類は原則紙で保存しなければなりませんでしたが、書類を保存する労力の軽減を図るなどの目的から、現在は電子データによる保存も認められています。

また、昨今の税制改正でスキャナ保存の要件が緩和されましたので、紙の書類をスキャンし、電子データとして保存しやすくなっています。

スキャナ保存の対象になる書類

スキャナ保存の対象になる書類は、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(以下、「規則」)」第2条4項に規定する書類以外の国税関係書類です。

規則第2条4項に規定する書類は、棚卸表、貸借対照表、損益計算書などの計算、整理または決算関係書類をいい、これらに該当しない国税関係書類はスキャナ保存の対象です。
過去に作成・受領した国税関係書類については、適用届出書の提出などの要件を満たすことで、スキャナ保存をすることが認められています。

一方で、売上伝票などの伝票類については、所得税法施行規則第63条1項および法人税法施行規則第59条1項等に規定する保存すべき書類には当たらないことから、電子帳簿保存法第2条2号に規定する国税関係書類には該当しないため、スキャナ保存の適用はありません。

<スキャナ保存の対象書類>

  • 対象になる主な書類等
  • 契約書、領収書、預り証、
    借用証書、預金通帳、小切手、
  • 約束手形、有価証券受渡計算書、請求書、納品書、
    送り状、輸出証明書、
  • 検収書、入庫報告書、
    貨物受領証、見積書、注文書
  • 対象外になる主な書類等
  • 仕訳帳、総勘定元帳、棚卸表、
    貸借対照表、損益計算書、
  • 一定の取引に関して作成されたその他の帳簿、
  • 計算・整理または決算に関して作成されたその他の書類

紙で作成・受領した書類等をスキャナ保存するメリット

紙で作成・受領した書類等を読み取り、電子データとして管理するメリットは2点あります。

1つ目のメリットは、書類を保管するスペースを削減できる点です。
領収書などには保存期間が定められているため、事業者は関係書類を管理するスペースを確保しなければなりません。
しかし、スキャナ保存を利用した場合、スキャナで読み取った紙の書類は原則廃棄することが認められているため、関係書類を電子データ化することで保存スペースだけでなく、ファイリング作業を削減することができます。

2つ目のメリットは、経理処理を効率化できる点です。
スキャナ保存は、スマホを使って紙の書類を読み込むことも認められていますので、営業の人でも紙の書類を電子データ化することができます。
スマホで読み取った領収書などを経理担当者に送付すれば、直接受け渡しする必要がなくなりますし、テレワーク中でも経理作業が行えるようになります。

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