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相続税の税務調査で指摘されやすい貸家建付地評価のポイント

土地を貸付アパートや貸付マンションの敷地として利用していた場合、貸家建付地評価を行うことになりますが、相続税の税務調査では、貸付用の敷地として供していた土地であっても貸家建付地評価が否認されることがあります。

本記事では、相続税で貸家建付地評価を行う際の注意点および、相続税調査で指摘されやすいポイントについて解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

貸家建付地の評価方法

貸家建付地は、賃貸用の建物の敷地として利用している宅地をいいます。

相続税では、評価対象地の自用地評価額を計算し、借地権割合等に応じた減額補正を行って貸家建付地の評価額を求めます。

<貸家建付地評価の算式>
自用地評価額-(自用地評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)=貸家建付地の相続税評価額

貸家建付地の評価額が減額されるのは、賃借人と賃貸契約を結んでいることで土地の利用範囲が制限されるためです。

ただし、アパートなどを使用貸借している場合や、一般的に借地借家法の適用がないとされている社宅の敷地などは、貸家建付地ではなく自用地として評価することになります

貸家建付地評価の賃貸割合の考え方

貸家建付地評価を行うのは、相続開始時点で実際に賃貸されている部分に限られます。

<賃貸割合の算式>
相続開始時点において賃貸されている家屋の各独立部分の床面積の合計÷家屋の各独立部分の床面積の合計=賃貸割合

「賃貸されている各独立部分」は、建物の構成部分である隔壁や階層等で、他の部分と完全に遮断されている部分をいい、独立した出入口を有するなど独立して賃貸その他の用に供することができるものをいいます。

貸付アパートなど、建物全体を貸付用として利用する目的があったとしても、空室など貸付用として供していない部屋等がある場合、その部分の床面積は自用地として評価しなければなりません。

空室部分に対応する面積が自用地評価となるのは、課税時期である相続開始時点において貸し付けられていない土地に利用の制約はなく、貸家建付地としての減価を考慮する必要がないためです。

相続税調査で論点になる貸家建付地評価のポイント

貸付アパート等の敷地全体を貸家建付地として評価していた場合、税務署の調査担当者は相続開始時点の貸付状況を確認し、貸家建付地評価の妥当性を判断します。

貸付物件としての利用状況

貸家建付地評価を行う場合、相続開始時点で建物が継続的に賃貸されていたかが焦点となります。

相続開始時点で貸付用として利用していたとしても、貸家建付地評価をするために短期間だけ貸し付けていた場合には、貸家建付地評価が否認される可能性があります。

通常、不動産貸付の際は賃貸契約書を作成しますが、契約書が作成されていないときは、貸付状況が確認できる資料等を揃えてください。

また、親族に貸し付けている場合、賃料が低額であれば使用貸借とみなされることもあります。
親族に貸し付けている部分も貸家建付地として評価する際は、第三者と同程度の家賃を設定しているかどうかもポイントになります。

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