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土地の用途変更による税負担の影響と相続時の注意点

相続によって取得した土地は、相続人が自由に使用・処分できます。

農地を宅地として利用するなどの方法もありますが、土地の用途変更は評価基準や税法上の扱いに影響を与えるため、場合によっては税負担が増加する可能性があるので注意が必要です。

本記事では、土地の用途変更で税負担が変動する仕組みと、税負担を軽減させる方法について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

土地の用途変更とは?

土地の用途変更とは、登記上の地目を別の地目へ変更することをいいます。

登記地目は、土地の利用目的に応じて定められているため、田畑や山林を住宅地や商業地へ変更する場合には、法務局で地目変更の手続きが必要です。

相続により取得した土地の地目を変更するケースとしては、以下のような状況が考えられます。

  • ・相続開始時点で登記地目と現況が異なっている場合
  • ・土地の価値を向上させるために宅地造成などを行う場合

土地の用途変更による税金への影響

土地の用途を変更すると、固定資産税、不動産取得税、相続税に影響が生じる可能性があります。

固定資産税が変動する

固定資産税は、土地の所有者に毎年課される税金であり、税額は土地の固定資産税評価額を基に算出されます。

固定資産税評価額は3年ごとに見直され、評価額が上昇すると固定資産税の納税額も増加します。

農地や山林の固定資産税評価額は宅地に比べて低く、相続開始後も従前と同様の用途に供する場合、税負担が増えることはありません。

しかし、相続後に宅地造成を行い、地目が宅地に変更されたときは、固定資産税評価額の上昇に伴い、固定資産税の負担は重くなります。

不動産取得税の計算の基礎となる額が変わる

不動産取得税は都道府県税の一つで不動産を取得した際に課されます。

相続で不動産を取得した場合、基本的には不動産取得税は発生しませんが、遺贈によって取得した場合には課税対象となることがある点には注意が必要です。

不動産取得税の額は、不動産の価格に税率を乗じて計算されます。

「不動産の価格」は原則、市町村の固定資産課税台帳に登録されている価格が適用されます。

しかし、地目変更などにより評価額が変わった場合には、固定資産評価基準に基づき再評価された価格を「不動産の価格」として不動産取得税を計算することになるため、負担が増える可能性があります。

相続税評価額が変わる可能性

相続税を計算する場合、相続財産ごとに相続税評価額を計算します。

土地の相続税評価額は、相続開始時点の現況に基づいて評価するため、相続発生後に地目変更を行っても相続税評価額が上昇することはありません。

一方で、被相続人が地目変更を行わないまま亡くなったときは、登記地目と現況地目が異なっている場合があります。

登記上は畑の土地でも、相続開始時点で宅地として利用していれば、宅地としての相続税評価額を計算することになります。

そのため、土地の相続税評価額を求めるときは、必要に応じて現地確認を行ってください。

土地の用途変更による税負担を軽減するための対策

土地用途変更時の税負担を軽減するためには、税金の種類ごとの対策が必要となります。

固定資産税の節税方法

固定資産税は、固定資産税評価額に税率を乗じて算出されるため、土地の用途変更によって評価額が高くなると、その分だけ税負担が増加します。

一般的に、農地から宅地へ転用すると税負担は重くなりますが、宅地を住宅用地として利用している場合には、200㎡までの部分については固定資産税の課税標準額を6分の1にする措置が適用されます。

宅地に用途変更した土地を住宅用地として活用すれば、固定資産税の負担を抑えられますので、用途変更を検討する際は、事前に軽減措置の適用条件を確認してください。

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